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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻1号

2008年01月発行

文献概要

症例報告

放射線照射が有効であった巨大Merkel細胞癌の1例

著者: 高橋秀典1 西川美都子1 澤井孝宏1 清原隆宏1 熊切正信1 長谷川義典2 小浦場祥夫3

所属機関: 1福井大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学 2福井済生会病院皮膚科 3北海道大学医学部機能再生医学形成外科

ページ範囲:P.67 - P.70

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要約 73歳,男性.2002年夏頃,左上眼瞼の紅色腫瘤に気付き,近医での皮膚生検で皮膚癌と診断されたが放置し,次第に増大してきた.当科受診時,左上眼瞼に鵞卵大,左頸部に手拳大,易出血性の紅色腫瘤があり,左鎖骨上部に長径30mm大の皮下腫瘤があった.血中ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)値は99.2ng/mlと高値だが,画像検査上,遠隔転移はなかった.病理組織学的に皮膚・リンパ節とも,クロマチンに富む類円形の核とわずかな胞体を有する細胞が,一部ではtrabecular patternを呈して密に増殖,N/C比は高く核小体は明瞭であった.腫瘍細胞はサイトケラチン20陽性,NSE陽性,クロモグラニンA陰性.電顕的に有芯顆粒がみられた.化学療法,放射線照射により腫瘍は著明に縮小した.NSE値は腫瘍の縮小に合わせて著明に低下し,多発性転移とともに再度上昇したことから,Merkel細胞癌の病勢の有用なマーカーであると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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