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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻10号

2008年09月発行

文献概要

症例報告

摂食障害患者にみられた壊死性遊走性紅斑の1例

著者: 大野綾子1 米山恭子1 中村悠美1 鎌田憲明1 神戸直智1 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院皮膚科

ページ範囲:P.712 - P.715

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要約 58歳,女性.数十年来のキャベツを主体とした極端に偏った食生活による摂食障害があった.初診の8か月前より両下肢に中心退色傾向のある,鱗屑を付す環状から不整形の紅斑が出現した.病理組織学的に錯角化を伴う過角化と表皮細胞の空胞変性,好酸性壊死を認め,血液検査上,複数のアミノ酸と亜鉛値が低下していた.グルカゴン値は正常で,グルカゴノーマは否定的であった.摂食障害による低栄養に伴う壊死性遊走性紅斑と診断した.アミノ酸,亜鉛製剤を投与し,血中アミノ酸,亜鉛値は改善し,皮疹も消失した.本症例は,摂食障害による低栄養状態が壊死性遊走性紅斑の原因となることを示唆した.

参考文献

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9) 中東恭子, 他:皮の科6: 246, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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