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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻10号

2008年09月発行

文献概要

症例報告

亜鉛欠乏症の1例

著者: 齋藤京1 馬場あゆみ1

所属機関: 1さいたま市立病院皮膚科

ページ範囲:P.717 - P.719

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要約 84歳,女性.6年前に多発性脳梗塞を発症し,以降の食事は半消化態栄養剤であるテルミールソフト®が中心であった.当科受診の1か月前から顔・陰部・四肢先端の弛緩性水疱を伴う紅斑が出現し,徐々に増悪した.臨床的に典型的な皮疹と血中亜鉛値低下(18μg/dl),および亜鉛の投与により皮疹と低下していた意識レベルが速やかに改善したことから,本症例を亜鉛欠乏症と診断した.亜鉛欠乏は栄養摂取に極端な偏りがなければ通常は生じないとされるが,自験例は経腸栄養剤に栄養を頼らざるをえない状況で亜鉛含有が少ない製品を使用し,亜鉛摂取量が不足して発症した.経腸栄養剤は亜鉛をはじめとする微量元素に関し,製品により含有量のばらつきが比較的大きく,高齢者の皮膚炎を診察する際は,亜鉛含有量が低く設定された製品の偏った使用による本症を念頭に入れる必要がある.

参考文献

1) 小川滋彦:nursing mook 33 PEGパーフェクトガイド, 学習研究社, p84, 2006
2) 堀 仁子, 他:臨皮61: 880, 2007
3) 玉置邦彦:最新皮膚科学大系 特別巻1, 中山書店, p301, 2004
4) 足立香代子:臨床栄養103: 432, 2003
5) 湧上 聖:臨床栄養103: 457, 2003
6) 塚本克彦, 他:皮膚病診療28: 961, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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