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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科62巻11号

2008年10月発行

雑誌目次

連載 Clinical Exercise・14

Q考えられる疾患は何か?

著者: 草刈良之

ページ範囲:P.781 - P.782

症例

患 者:34歳,女性.

既往歴・家族歴:特記すべきことなし.

現病歴:初診の約3か月前にガラスコップの破片で右手第2指を傷つけた.その後,同部分が徐々に腫脹し,さらに膿をもってきたため近医を受診し,当科を紹介された.問診により,同時期に熱帯魚を飼育していたことがわかった.

現 症:右手第2指背に潰瘍を伴う紫紅色の結節を認めた(図1).その約2週間後,右前腕部にも同様の結節が出現した(図2).その結節を穿刺してみたところ,黄白色調の液が排出された.

今月の症例

後頸部に生じた巨大なspindle cell lipomaの1例

著者: 林裕嘉 ,   星野洋良 ,   森布衣子 ,   木花いづみ

ページ範囲:P.784 - P.787

要約 51歳,男性.10年以上前より徐々に増大した右後頸部の12cm大の半球状に隆起する弾性やや硬の腫瘤で,下床とは可動性があり自覚症状を欠いていた.経過からlipomaを考えたが,腫瘍内部がMRI上,一部不均一に描出されたため,術前にliposarcomaも否定しきれなかった.病理組織学的に成熟脂肪細胞が増殖する部分と,膠原線維の増生と豊富な粘液性間質を伴う紡錘形細胞が増殖する部分が混在し,肥満細胞が散見された.核異型,脂肪芽細胞は認めずspindle cell lipomaと診断した.本症の画像所見は腫瘍内の多彩な組織像を反映していると考えられた.

症例報告

筋症状を伴ったアナフィラクトイド紫斑の2例

著者: 加持達弥 ,   徳野貴子 ,   長尾洋

ページ範囲:P.789 - P.792

要約 両下肢の筋肉痛,歩行困難,筋酵素の上昇を認めたアナフィラクトイド紫斑の2例を経験した.症例1:39歳,男性.扁桃周囲膿瘍として近医耳鼻科にて加療中,6日前から両下腿に紫斑を自覚していたが,急に激しい両下肢の筋肉痛,歩行困難が出現した.症例2:56歳,女性.感冒症状の後,両下肢の紫斑,筋肉痛,脱力感が出現した.両症例ともASO,筋酵素の上昇と,病理組織学的にleukocytoclastic vasculitisの像を認め,アナフィラクトイド紫斑と診断した.本症の合併症として筋肉痛,脱力感,歩行困難といった筋症状を伴うことがあることを認識しておく必要がある.

著明な拍動を伴う耳前部浅側頭動脈瘤の1例

著者: 剱持靖子 ,   青柳哲 ,   本間英里奈 ,   村田純子 ,   猪熊大輔 ,   黒田敏 ,   清水宏

ページ範囲:P.793 - P.796

要約 78歳,女性.約2年前に左耳前部に結節が出現し,徐々に増大し受診した.同部位に外傷の既往はなし.左耳前部に半球状に隆起した51×40×30mm大で,弾性軟の皮下腫瘤を認め,著明な拍動を伴っていた.超音波検査,three dimensional computed tomography(3DCT)などの画像検査で左浅側頭動脈からの連続が確認され,浅側頭動脈瘤と診断し,全摘出術を施行した.病理所見では外膜,中膜,内膜の血管構造は保たれており,真性動脈瘤であった.浅側頭動脈瘤の90%以上が外傷に伴うもので,前額部,側頭部の報告が多い.しかし,非外傷性のものに限れば耳前部の発生が多く,耳前部の皮下腫瘤をみた際には,外傷の既往がなくても浅側頭動脈瘤を鑑別に入れるべきと考えた.

総合感冒薬により生じたと思われるStevens-Johnson症候群の1例

著者: 舩越建 ,   田村舞 ,   諏訪部寿子 ,   五味博子 ,   栗林典代 ,   川久保洋

ページ範囲:P.797 - P.800

要約 25歳,男性.感冒様症状に対し,パブロンゴールド®の内服後,発熱と水痘様の発疹を生じた.その後,急速に水疱が増大し,粘膜病変を生じた.臨床的にStevens-Johnson症候群と診断した.肺炎を合併していたが,抗生剤とステロイドにより軽快した.被疑薬に対し,drug-induced lymphocyte stimulation test (DLST)を複数回施行し,結果からパブロンゴールドを被疑薬と考えた.有効成分についてさらにDLSTを行い,塩化リゾチームが陽性であった.

ボルテゾミブによる薬疹の1例

著者: 後藤康文 ,   高田実 ,   牧島秀樹 ,   石田文宏 ,   斎田俊明

ページ範囲:P.801 - P.803

要約 52歳,女性.再発性の多発性骨髄腫に対し,新規分子標的治療薬であるボルテゾミブの投与を開始したところ,2サイクル8日目(投与開始から29日目)に頸部,胸部,背部,両前腕に小豆大までの紅暈を伴うかゆみのない淡紅色丘疹が散発してきた.一部には紫斑も混じていた.皮膚生検では真皮内の血管に壊死性血管炎の像が認められた.皮疹は約5日間で自然に消退したが,その後もボルテゾミブ投与のたびごとに繰り返し出現した.ボルテゾミブは比較的高頻度に薬疹を生じ,自験例に認められたような特徴的な臨床像を呈することが報告されている.皮疹出現にもかかわらず,ボルテゾミブの継続投与が可能であった.

セレコキシブ(セレコックス ®)による薬疹の2例

著者: 花川博義 ,   刀川信幸 ,   柳原誠 ,   太田悟 ,   駒井理

ページ範囲:P.804 - P.807

要約 症例1:68歳,女性.セレコキシブ(セレコックス ®)内服9日後より,全身にそう痒を伴った母指頭大までの浸潤性紅斑が多発した.眼と口腔の粘膜に軽度の充血がみられた.真皮上層の血管周囲と毛包・脂腺周囲に炎症細胞浸潤を認めた.症例2:61歳,男性.セレコキシブ内服24日後より体幹・四肢の間擦部を中心に粟粒大の淡紅色から赤色の紅斑と丘疹が多数集簇してみられ,一部紫斑を伴っていた.真皮上層の血管周囲にリンパ球の浸潤と赤血球の血管外漏出があり,表皮内汗管と真皮内汗管周囲にリンパ球の浸潤がみられた.症例1,2ともにセレコキシブの中止とプレドニゾロンの内服により皮疹は速やかに軽快した.薬剤パッチテストは両症例とも陽性であり,それぞれ多形紅斑型,間擦疹型薬疹と診断した.

40年後にサラゾスルファピリジンによって誘発された固定薬疹の1例

著者: 皿山泰子 ,   池田哲哉 ,   中村敬 ,   玉置昭治

ページ範囲:P.808 - P.810

要約 65歳,男性.20歳時に感冒薬内服,注射後に発疹の既往がある.原因としてはサルファ剤が強く疑われた.2002年12月17日昼より潰瘍性大腸炎に対し,サラゾスルファピリジン(サラゾピリン ®)内服開始し,翌日夜より体幹部を中心に対称性の,境界比較的明瞭な紅斑が出現した.スルファピリジンによる固定薬疹を疑い,内服テスト施行したところ,同様の皮疹が誘発され,サルファ剤による固定薬疹と診断した.

非致死型幽門閉鎖症合併先天性表皮水疱症の1例

著者: 藤山俊晴 ,   津嶋友央 ,   橋爪秀夫

ページ範囲:P.811 - P.813

要約 6歳,男児.生後3日より皮膚の被刺激部位に一致して水疱が形成された.哺乳不良があり,腹部単純X線写真で消化管の閉鎖が疑われた.生後12日に開腹手術により幽門閉鎖症を治療した.これにより,幽門閉鎖症合併先天性表皮水疱症と診断した.皮膚の電子顕微鏡像で透明帯に一致する裂隙形成および一部表皮基底細胞内の裂隙を認めた.全身状態は良好であり,皮膚症状は軽微であった.電子顕微鏡所見で,単純型表皮水疱症と接合部型表皮水疱症との両者の特徴を併せ持つことから,自験例はhemidesmosomal variantsと考えられた.

Hyperkeratotic form of porokeratosis Mibelliの1例

著者: 武村朋代 ,   小林里実 ,   川島眞

ページ範囲:P.814 - P.817

要約 52歳,男性.5年前より臀部に角化を伴う紅色皮疹が出現し,拡大した.初診時,背部,上肢に径1cmまでの角化性局面が散在し,臀部では著明な角化を伴う褐色の扁平結節が多発,融合して大型局面を形成していた.病理組織学的所見で,上背部の環状局面では辺縁の隆起する部位に一致して過角化と錯角化円柱,いわゆるcornoid lamellaを認めたのに対し,臀部の角化性大型局面では多数のcornoid lamellaがみられ,全体にわたり表皮突起の延長と真皮乳頭層の稠密なリンパ球浸潤を認めた.以上より,汗孔角化症(Mibelli)と診断し,特に臀部の皮疹はhyperkeratotic formと考えた.Ki-67染色では,Mibelli型の典型疹ではcornoid lamella下方に,臀部のhyperkeratotic formでは全体皮疹に多数の陽性角化細胞が認められた.

多発性warty dyskeratomaの1例

著者: 山中佑次 ,   大黒奈津子 ,   嶌嵜香 ,   福本隆也 ,   小林信彦 ,   新関寛徳 ,   浅田秀夫 ,   宮川幸子

ページ範囲:P.818 - P.821

要約 77歳,男性.2001年頃より頭部に軽度のそう痒を伴う,融合傾向のない角化性丘疹を散在性に認め,外用治療を施行されていたが,改善しなかった.季節による変動はないが漸次増数したため,2006年3月に当科を受診した.初診時,頭頂部を中心として被髪部全体に,1~3mm大の中央に角栓を伴う丘疹が多発していた.頭頂部・後頭部の丘疹の2か所を生検し,いずれも典型的なwarty dyskeratoma(WD)の病理組織像を得た.Darier病の限局型・面皰型との鑑別が問題だが,家族歴・分布・発症年齢などから多発性WDと診断した.多発性WDの報告は調べえた限り,自験例を含め16例であった.自験例を含めた多発性WDと単発WDで,好発年齢,好発部位など大きな差は認められなかった.

Generalized morpheaの1例

著者: 渡邉梨恵子 ,   田村政昭 ,   石川治

ページ範囲:P.822 - P.824

要約 62歳,女性.職業はゴム製品の検品.3か月前より胸背部の皮膚の張り感およびそう痒を自覚した.胸部,腹部,背部に左右対称性に光沢を有する広範な硬化局面がみられ,辺縁に発赤を伴っていた.指趾を含む四肢の硬化や内臓病変の合併はない.病理組織像では膠原線維の膨化・均質化がみられた.プレドニゾロン20mg/日の内服を開始し,紅斑は消失し,硬化は改善した.急速に広範な硬化局面を呈した例は比較的稀と考えた.

下腿潰瘍を生じたSjögren症候群の1例

著者: 長田彩 ,   石黒直子 ,   川島眞

ページ範囲:P.825 - P.827

要約 74歳,女性.50歳頃より両下腿に点状紫斑が出現した.1987年4月に当院内科を受診し,ビタミンC内服で加療されたが紫斑の新生が続くため,1988年3月に当科を初診し,生検にてleukocytoclastic vasculitisの像を認めた.抗核抗体640倍,口腔内・眼乾燥症状があり,Sjögren症候群に伴う血管炎として内科でプレドニゾロン20mg/日を開始した.その後減量し,1mg/日内服中の2004年9月,打撲後に右下腿に潰瘍を形成し難治であるため,翌年7月に当科を再診した.両下腿に点状ないし不整形の褐色斑を認め,点状の紫斑を混じ,右下腿外方に大小の潰瘍を伴っていた.紫斑,潰瘍の生検像では前回と同様にleukocytoclastic vasculitisを認めた.γ-グロブリン2.1g/dl,抗核抗体5,120倍,抗SS-A抗体・抗SS-B抗体高値,Schirmer試験と蛍光色素試験が陽性で,Sjögren症候群に伴うleukocytoclastic vasculitisから生じた下腿潰瘍と診断した.PSLを20mg/日に増量し,6か月後にはほぼ上皮化した.

臀部に生じたclear cell acanthomaの1例

著者: 福井奈央 ,   清原忠彦 ,   大津詩子 ,   森脇真一 ,   清金公裕

ページ範囲:P.828 - P.830

要約 70歳,男性.約20年前より右臀部やや下方に紅色小結節を認めていた.皮疹は徐々に増大し,最近になり疼痛が出現してきたため,2006年12月当科を受診した.初診時,右臀部に小指頭大の表面に鱗屑を付着した圧痛を伴う紅色結節を認めた.病理組織学的所見では,表皮は肥厚し,病変部と正常部の境界は明瞭であった.腫瘍を構成する細胞は大型のケラチノサイト様細胞で,その胞体は正常部のケラチノサイトと比較すると淡明で,核に異型性はなかった.また,軽度の細胞間浮腫と少数の好中球の侵入がみられた.真皮の毛細血管は軽度拡張し,リンパ球浸潤がみられた.腫瘍細胞はジアスターゼ消化性periodic acid Schiff染色陽性であった.Clear cell acanthomaと診断した.

外陰部に生じたsyringomaの3例

著者: 林裕嘉 ,   森布衣子 ,   木花いづみ

ページ範囲:P.831 - P.834

要約 症例1:8歳,女児.症例2:17歳,女性.症例3:27歳,女性,妊娠5週.いずれも褐色丘疹より構成されるsyringomaであった.臨床症状はおのおの異なっており,隆起が目立ち,そう痒の強かった症例3では,真皮深層まで腫瘍細胞を認め,間質の膠原線維の増生も著しかった.3症例とも管腔構造周囲に肥満細胞の出現を認めたが,症例3ではその数が多く,そう痒と肥満細胞の関係が示唆された.また,腫瘍の発育と女性ホルモンとの関係を検討すべく,エストロゲン受容体,プロゲステロン受容体の染色を行ったが,3症例いずれの腫瘍細胞も陰性であった.

遠隔転移をきたしたと思われる頭部巨大基底細胞癌の1例

著者: 山本晃三 ,   種瀬啓士 ,   原藤玲 ,   宮川俊一

ページ範囲:P.835 - P.838

要約 87歳,男性.10年前に頭部を負傷してそのまま放置していた.初診時,頭部に径16×14cm大の巨大腫瘤を認めた.皮膚生検にて基底細胞癌と診断した.拡大切除および分層植皮術を施行した.病理組織学的所見は表在型,充実型,浸潤型の混在する基底細胞癌であった.術後,骨,肺,肝に多発性の転移と思われる所見を認めた.経過が長く浸潤傾向の強い基底細胞癌は,転移のリスクがあると考えられた.

プレドニゾロンの投与のみで寛解を得たsubcutaneous panniculitis-like T-cell lymphomaの1例

著者: 安藤一葉 ,   三浦和久 ,   渡辺大輔 ,   玉田康彦 ,   松本義也 ,   原一夫 ,   堀博子

ページ範囲:P.839 - P.842

要約 70歳,女性.初診の4か月前より発熱と四肢・顔面に皮下硬結を伴う紅斑が出現した.皮膚生検にて,皮下脂肪織に異型リンパ球の浸潤があり,rimming像やbean bag cellを認めた.免疫組織化学染色にて異型リンパ球はCD8陽性,CD3陽性であったが,CD4,CD5は陰性であった.皮膚腫瘍部の浸潤細胞のフローサイトメトリーによる表面マーカー検索ではTCR-αβ陽性細胞が約80%であった.以上より,subcutaneous panniculitis-like T-cell lymphoma(SPTCL)と診断した.ステロイド内服療法を行い,速やかに皮下硬結が消退し,また発熱の改善を認めた.

頭部に生じ,bcl-2強陽性,MUM-1陽性であった原発性皮膚大型B細胞リンパ腫の1例

著者: 浅野雅之 ,   國井隆英

ページ範囲:P.843 - P.846

要約 83歳,男性.約1年前から頭部に紫紅色の腫瘍が出現し,徐々に増数,増大するため,当科を受診した.病理組織検査で大型のくびれのない核をもつB細胞の増殖を認め,light chain restrictionならびに免疫グロブリンH鎖遺伝子で単クローン性の再構成バンドを認めた.理学的および画像による全身検索で皮膚以外の病変を認めず,原発性皮膚大型B細胞リンパ腫と診断した.免疫組織化学染色でbcl-2強陽性,MUM-1陽性であり,大型B細胞リンパ腫のなかでも予後がよくないといわれているleg typeと同様の細胞形質を有していた.しかし,放射線治療で腫瘤は平坦化し,4か月経った現在,再発,他臓器転移はない.

骨髄移植後に生じたサイトメガロウイルス(CMV)性肛門周囲潰瘍

著者: 松永裕美 ,   松村由美 ,   宮地良樹 ,   三富陽子 ,   真鍋俊明 ,   河野文彦 ,   安部大輔 ,   梅田雄嗣 ,   足立壮一 ,   中畑龍俊

ページ範囲:P.847 - P.849

要約 17歳,男性.1歳9か月時に慢性肉芽腫症と診断され,2005年8月に同種骨髄移植,ドナーリンパ球輸注を施行し,急性GVHDを発症したため,ステロイド,免疫抑制薬増量によって加療された.その経過中に陰部・肛門部,左下肢,右顔面三叉神経第1・2枝領域に次々に帯状疱疹が出現した.また同時に,下痢のための肛門周囲の一次刺激性皮膚炎が遷延した.肛門周囲のびらんはいったん治癒したが,その後,肛門周囲に潰瘍が出現した.皮膚生検の結果,CMV性肛門周囲潰瘍と診断した.小腸内視鏡においてもCMV感染が確認され,下痢便を介してCMVが肛門に付着して,局所において感染が成立したものと考えた.

結節性梅毒の1例

著者: 藤岡愛 ,   高橋正人

ページ範囲:P.850 - P.852

要約 43歳,男性.4年前に性交渉歴あり(回数は不明,以後はない).初診の2か月前より体幹に拇指頭大までの紅色結節が出現した.結節の病理組織学的所見は,形質細胞の浸潤と多核巨細胞よりなる肉芽腫であった.一部に弾性線維を貪食した多核巨細胞を認めた.梅毒血清反応が陽性で,TPHA法定量20,480倍,RPR法定量256倍と高値であったこと,現病歴,臨床所見,病理組織学的所見より,第3期梅毒の結節性梅毒と診断した.サワシリン ®1,000mgの内服を半年間行い,RPRは8倍までに低下した時点で内服を中止し,経過観察とした.

印象記

Post International Investigative Dermatology(IID)2008 Satellite International Meeting on Autoimmune Bullous Diseasesに参加して

著者: 横内麻里子

ページ範囲:P.854 - P.856

 2008年5月17~19日,大津プリンスホテルにて「Post International Investigative Dermatology (IID) 2008 Satellite International Meeting on Autoimmune Bullous Diseases」が開催されました.水疱症研究に携わる世界の研究者が集うsatellite meetingが,IIDの後,開催地を移し3日間にわたって行われるというのは,今回が初めての試みです.IIDで得た新しい知識をそのままに,さらに水疱症に焦点を絞り,大津で活発な議論を… “Join us in Otsu for hot discussion ! ”をテーマに,世界各国から約100人の水疱症研究者が一堂に会する,satellite meetingとしては今までになく大規模な学会となりました.

 大津はIIDの開催地である京都国際会館から車で20分程度と近く,私たち参加者はIID閉会の後,3台のバスに分乗して一路大津へ,そして到着まもなくしてウェルカムパーティとなりました.この稿では省きますが,IIDの4日間は甚だ充実かつハードスケジュールであり,筆者などかなり疲れ果てておりましたが,海外の先生方は疲れも見せず,終始明るく談笑されていました.皆さんお互いに顔見知りとあって,会場のそこかしこでは熱いディスカッションも繰り広げられており,世界で活躍する先生方は本当にタフなのだなあと思ったのが印象に残っています.

「第20回色素細胞学会国際連合学術大会(IPCC)・第5回メラノーマ研究会国際コングレス(IMRC)合同会議」印象報告記

著者: 神保孝一

ページ範囲:P.857 - P.860

 2008年5月7日~12日の6日間にかけて「第20回色素細胞学会国際連合学術大会(IPCC)・第5回メラノーマ研究会国際コングレス(IMRC)合同会議」が札幌にて開催された.本合同会議開催について報告するとともに,第5回メラノーマ研究学会国際コングレスを中心に印象を述べる.

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あとがき

著者: 中川秀己

ページ範囲:P.864 - P.864

 今年度より川島 眞教授から編集委員を引き継ぐことになりました東京慈恵会医科大学の中川秀己です.これからよろしくお願いいたします.投稿論文を査読すると勉強になることがたくさんあり,それなりに楽しいのですが,日本語の乱れ,文章の乱れが目立つとともに,昔と比べると「パッション」を感じさせてくれるものが少なくなってきているようでとても残念です.学会では,症例に出会って,感銘を受けたことを発表するわけですが,当然その後,質問などを加味して十分に練り直して論文にし,投稿するわけです.自分が経験した感激を,ぜひ読者の先生方にわかって欲しいという情熱を感じるような論文を書いてください.そのような論文に出会うことを楽しみにしています.そのためには,共同執筆者の先生方の熱意あるご指導が必要不可欠ですので,よろしくお願いいたします.

 しかし今年の夏は本当に暑かった.それに加え,各地でゲリラ豪雨・落雷と事故が頻発し,人間の英知も自然にはあらがえないこと,環境破壊により地球温暖化が着実に進んできていることを実感することになりました.日本もどんどんと亜熱帯気候に変わっていくのでしょうか.と思っていたら,福田首相がゲリラ退陣,相撲界のアヘン吸引,地球だけでなく,政界,相撲界もノー天気になってきているようで本当にゾッとします.眠気を我慢しつつ観戦していた北京オリンピックでの水泳の北島選手や女子ソフトボールなどの活躍が唯一の救いでした.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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