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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻12号

2008年11月発行

文献概要

症例報告

蜂窩織炎に続発したアナフィラクトイド紫斑の1例

著者: 白石由佳1 五味方樹1 満山陽子1 平原和久1 水川良子1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.898 - P.901

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要約 78歳,男性.初診4日前より発熱を認め,その2日後より右下肢に発赤・疼痛・腫脹が出現した.臨床所見・炎症反応高値より蜂窩織炎と診断し,入院のうえ,抗生剤投与と局所の安静・冷却を行った.解熱傾向は認めたが蜂窩織炎は改善せず,発症6日後には胸部・腹部・四肢に,浸潤を触れる粟粒大の紫斑が出現した.紫斑部の皮膚生検では,表皮・真皮浅層に好中球を混じるリンパ球優位の細胞浸潤と,血管内皮細胞の膨化・腫大,赤血球の血管外漏出を認め,アナフィラクトイド紫斑と診断した.紫斑は出現後9日間で消退したが,蜂窩織炎はその後も遷延した.蜂窩織炎発症1か月後,抗ストレプトリジンO(ASO)287IU/ml・抗ストレプトキナーゼ(ASK)2,560倍と有意な上昇を認め,溶連菌の関与が考えられた.皮膚局所に常在する溶連菌は,蜂窩織炎の原因となるだけでなく,全身性の細菌アレルギーの原因ともなりうると考えた.

参考文献

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10) 篠田晃一, 他:中部リウマチ36: 52, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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