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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻12号

2008年11月発行

文献概要

症例報告

尋常性乾癬に併発した自己免疫性水疱症の1例

著者: 吉澤学1 納さつき1 竹腰知紀1 長山隆志1 大西誉光1 渡辺晋一1 石井文人2 橋本隆2

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学教室 2久留米大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.913 - P.916

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要約 70歳,男性.63歳より尋常性乾癬にて当科でステロイドとビタミンD3を外用し経過良好であった.約1か月前から両上腕に掻痒を伴う水疱が2~3個出現したが,ステロイド外用でいったん軽快した.1週間前より下腹部から大腿に新生水疱と浮腫性紅斑がみられ,2日前から全身各所に水疱が拡大した.体幹・四肢全体にびまん性に軽度鱗屑が付着する紅褐色調局面がみられ,一部に径3~4mm大の紅色丘疹を少数混じていた.局面上に浮腫性紅斑を伴う小指頭大の緊満性水疱が多数散在し,一部にびらんを形成していた.口腔内に水疱はなかった.血清抗BP180抗体,抗BP230抗体は陰性であった.病理組織像は,表皮下水疱を形成し,直下にリンパ球主体の細胞浸潤を認め,少数の好中球と好酸球を混じていた.蛍光抗体直接法で表皮基底膜部にIgG・C3が線状に沈着し,1M食塩水剝離皮膚を用いた蛍光抗体間接法では真皮側に反応した.このことより抗p200類天疱瘡や後天性表皮水疱症などの合併が考えられたが,免疫ブロット法で既知の対応抗原は検出できず,診断確定には至らなかった.プレドニゾロンを60mg/日から開始し,水疱は軽快したが漸減時に乾癬の一時的な増悪がみられた.

参考文献

1) 越後岳人, 他:臨皮59: 1077, 2005
2) Yasuda H, et al: Dermatology209: 149, 2004
3) Endo Y, et al: Br J Dermatol137: 783, 1997
4) Saeki H, et al: Br J Dermatol134: 152, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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