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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻12号

2008年11月発行

文献概要

症例報告

イベルメクチンが奏効したcreeping diseaseの1例

著者: 大森香央1 土肥凌1 金子健彦1 信崎幹夫2 赤尾信明3

所属機関: 1同愛記念病院皮膚科 2しのざき皮膚科 3東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学分野

ページ範囲:P.940 - P.942

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要約 52歳,男性.初診の約1週間前にホタルイカを約15匹生食した.その4日後に腹部に爬行状皮疹が出現し,徐々に拡大したため,当院を受診した.病理組織学的所見では,表皮の浮腫と表皮内水疱を認め,真皮上層から中層にかけてリンパ球を主体とする炎症細胞が浸潤していた.虫体は検索した切片では認められなかったが,旋尾線虫幼虫TypeⅩの抗体価の上昇が確認され,原因と考えた.生検後に新たに爬行状皮疹の伸長が出現したため,虫体が残存していると考え,イベルメクチン15mgの内服を試みたところ,皮疹の伸長が停止した.伸長の停止と症状の軽快は内服開始後4日以内,皮疹出現後から8日以内の早期に認められたことから,旋尾線虫幼虫症に対してイベルメクチンは有効であったと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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