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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻13号

2008年12月発行

症例報告

ステロイド長期内服と繰り返す打撲が誘因となった多発性のnodular-cystic fat necrosisの1例

著者: 大森香央1 石黒直子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.988 - P.990

文献概要

要約 34歳,女性.先天性副腎過形成症候群にて出生時よりステロイドを内服している.5年前より両下腿に皮下結節が出現し,徐々に増数してきた.初診時,両下腿前面に径2cm大までの結節が孤立性または多発癒合していた.病理組織学的所見では,薄い線維性の被膜に覆われた脂肪細胞の壊死融解像を認め,一部に膜囊胞性病変や石灰化も伴っていた.自験例では以前より下腿にしばしば皮下出血を認めていた.したがって,血行障害を起こしやすい部位である下腿に,打撲などの外的刺激を繰り返し受けたことにより強い血流障害が生じ,脂肪組織が壊死に陥った結果生じたと考えた.また,ステロイドの長期内服が自験例での多発性病変の形成に関与したものと推察した.

参考文献

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7) 柴田真理子, 他:皮膚臨床39: 31, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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