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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻13号

2008年12月発行

症例報告

マダコ咬傷の1例

著者: 石名航1 中川浩一1 石井正光2

所属機関: 1済生会富田林病院皮膚科 2大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学

ページ範囲:P.1023 - P.1025

文献概要

要約 28歳,女性.家族で日本海側の海岸でタコを釣っていたところ,マダコに咬まれて受傷した.家で処置をしていたが,受傷部の腫脹と痛みが増強し,受傷3日後に当院を受診した.右前腕に直径4cmの紅斑を認め,中央部には1cm大の潰瘍が存在し,潰瘍周囲は白色に変色していた.周囲には吸盤による紫斑がみられた.マダコ咬傷と診断し,外用処置と抗生物質,非ステロイド系抗炎症薬内服を行った.受傷1か月後に潰瘍は略治した.タコによる咬傷の6件の本邦報告例では,全例で創部に難治性潰瘍または持続性の炎症性変化が生じている.マダコ咬傷は検索した限りでは報告されていない.マダコ咬傷においても難治性潰瘍が形成されることに注意が必要である.

参考文献

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9) 木村文子, 上出康二:皮膚臨床48: 842, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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