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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻2号

2008年02月発行

症例報告

マイコプラズマ肺炎の経過中に発症したtoxic epidermal necrolysisの1例

著者: 五味方樹1 白石由佳1 満山陽子1 平原和久1 堀田隆之1 水川良子1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.120 - P.123

文献概要

要約 47歳,女性.マイコプラズマ肺炎に対し,内科で挿管,人工呼吸器管理下にステロイドパルス療法を行った.パルス後プレドニゾロン(PSL)を急速に漸減し,7.5mg/日まで減量したところで,全身に大豆大のtarget様紅斑が出現した.紅斑は急速に多発融合し,体表面積の約80%以上のびらん局面を形成した.病理組織学的所見で表皮全層にアポトーシスを認め,toxic epidermal necrolysis(TEN)と診断した.PSLを50mg/日に増量したが,びらんの新生は止まらず,血漿交換を2日間施行した.びらんの新生は止まり,徐々に上皮化を認めた.被疑薬のDLSTは陰性であり,マイコプラズマが関与したTENと考えた.マイコプラズマによるTENの報告は少なく,しかも重症マイコプラズマ肺炎と同時発症例がほとんどである.自験例はマイコプラズマ肺炎の発症初期にステロイドパルスを行ったことがTENの発症を一時抑えたものの,その後のPSLの急激な減量が発症を誘導したものと考えられた.

参考文献

1) Lyell A: Br J Dermatol68: 335, 1956
2) 平原和久:Visual Dermatol(印刷中)
3) 藤田 弘, 他:臨皮50: 1077, 1996
4) John T, et al: Am Acad Opthalmol109: 351, 2002
5) Fournier S, et al: Eur J Clin Microbiol Infect Dis14: 558, 1995
6) 塩原哲夫, 他:薬疹のすべて(印刷中)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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