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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻3号

2008年03月発行

文献概要

症例報告

東京都多摩地区で発生した恙虫病の2例

著者: 堀田隆之12 満山陽子1 浅野祐介1 早川和人1 狩野葉子1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2東伏見皮フ科クリニック

ページ範囲:P.224 - P.227

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要約 症例1:61歳,男性.症例2:71歳,男性.いずれも東京都多摩地区の雑木林,山中で刺咬を受けたと思われ,発熱,全身の皮疹,刺し口を認め,間接蛍光抗体(IF)法所見と併せ恙虫病と診断した.東京都で最近6年間に届出された恙虫病のほとんどは,島嶼を除くと23区内では他県や外国での感染であり,多摩地区においては全例地元での感染であった.これはいまだに,ツツガムシや宿主の野鼠の生息が十分可能な土壌が残っていることを示している.最近は刺し口を認めない新型も報告されており,届出の少なさを考えると,実際にはその一部は見逃されている可能性もある.また,2例中1例の感染株は,IF法でKuroki型の可能性が考えられた.恙虫病の確定診断は,IF法がその一助となるが,感染株の決定は困難なことも多い.最近はPCR法なども有用であり,感染後の時期に応じて使い分けていく必要があると考えられた.

参考文献

1) 国立感染症研究所:病原微生物検出情報27: 27, 2006
2) 小田 紘:戸田細菌学, 第31版(天児和暢, 他編), 南山堂, p615, 1997
3) 浦上 弘, 多村 憲:日細菌誌51: 497, 1996
4) 多村 憲:日細菌誌54: 815, 1999
5) Ohashi N, et al: Microbiol Immunol40: 627, 1996
6) 早川郁子, 他:皮膚臨床47: 449, 2005
7) Murai K, et al: Microbiol Immunol36: 1145, 1992
8) 橘 宣祥, 岡山昭彦:日本臨牀61(増2): 500, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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