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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻3号

2008年03月発行

症例報告

機械的刺激部位に悪性腫瘍が多発した疣贅状表皮発育異常症の1例

著者: 玉城裕妃子1 神戸直智1 藤澤章弘1 松村由美1 是枝哲1 立花隆夫1 宮地良樹1 鄭淑雲2 安立あゆみ2

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚科学 2名古屋大学大学院医学系研究科皮膚科

ページ範囲:P.241 - P.244

文献概要

要約 52歳,男性.両親がいとこ結婚.2~3歳時に,前額部に扁平疣贅様の皮疹および小指頭大の紅斑が出現し,顔面,四肢,体幹へと拡大した.27歳時に当科にて下腹部の基底細胞癌の切除を受け,同時に施行した紅斑部の皮膚生検の結果,顆粒層および有棘層に特有な澄明変性細胞がみられ,疣贅状表皮発育異常症と診断した.その後,患者は再診せず25年が経過した.52歳時に,外陰部の潰瘍を伴う出血性赤色腫瘤および体幹に多発する黒色結節を主訴に当科を再診した.露光部では25年前とほぼ同じ状態である一方,非露光部に有棘細胞癌と基底細胞癌が多発していた.靴下や下着などが擦れる部位に癌化を認めたことから,本症で非露光部に悪性腫瘍が多発する原因として,持続する慢性的な機械的刺激の関与が大きいのではないかと考えた.

参考文献

1) Lewandowsky F, Luntz W: Arch Dermatol Syphilol141: 193, 1922
2) 宮地良樹, 他:皮膚科紀要74: 29, 1979
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5) Anderson NP, Anderson HE: Arch Dermatol Syph (Bsel)63: 586, 1951
6) 岡崎美知治, 他:西日皮44: 824, 1982
7) 田中友紀子, 他:皮膚臨床28: 799, 1986

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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