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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻3号

2008年03月発行

治療

表皮ターンオーバーの促進に基づく色素沈着の改善―アデノシン一リン酸二ナトリウムの肝斑に対する臨床効果

著者: 川島眞1 水野惇子2 村田恭子3

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室 2イデリア スキンクリニック代官山(現・有楽町皮膚科) 3医療法人社団 晴幸会エヌ・エスクリニック

ページ範囲:P.250 - P.257

文献概要

要約 アデノシン一リン酸二ナトリウム(disodium adenosine monophosphate:AMP2Na)が表皮ターンオーバー(turnover:TO)促進効果を介して,加齢に伴い表皮に滞留しやすくなっているメラニンの排泄を促すとの新作用機序を証明すべく,肝斑を主訴とする27~60歳(平均年齢43.6歳)の女性27例にAMP2Naを3%配合した乳液を1日2回,16週間継続使用させた.表皮TO速度の指標となる角層細胞面積は,使用16週後には使用前と比較して有意に縮小した.皮膚の明るさの指標である皮膚明度L値は,使用16週後には使用前に比べて有意に上昇した.また,医師の判定による全般改善度は,使用16週後において「やや改善」以上が92.3%(24/26)であった.以上より,AMP2Naを3%配合した乳液が表皮TO促進効果を介して表皮に滞留したメラニンを排泄する新しい作用機序により,色素沈着を改善することが示された.

参考文献

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10) Kemp BE, et al: Biochem Soc Trans31: 162, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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