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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

症例報告

サイトメガロウイルスによる消化管出血をきたした薬剤性過敏症症候群の1例

著者: 何川宇啓1 浅野祐介1 福田知雄1 狩野葉子1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.278 - P.281

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要約 81歳,男性.アロプリノール(アロシトール®)内服32日目に発熱と紅斑が出現した.発症26日目に全血からヒト6型ヘルペスウイルスDNAを検出し,薬剤性過敏症症候群と診断した.ステロイドの全身投与をせずに免疫グロブリン製剤のみで加療したが,発症30日目に突然,消化管潰瘍から大量出血を生じ,内視鏡下クリッピング術と輸血を施行した.同時期に生じた皮膚潰瘍の生検組織よりサイトメガロウイルス(CMV)抗原が検出され,CMV抗原血症も認めたため,CMV感染症と考え,ガンシクロビルを投与した.臨床症状と発症時期よりCMV再活性化が予測され,速やかな検査で確認できた.CMVによる胃十二指腸潰瘍はしばしば致命的であり,早期の診断,治療が必須である.

参考文献

1) 藤山幹子:最新皮膚科学大系, 第15巻, 中山書店, p195, 2003
2) 狩野葉子:日皮会誌116: 2155, 2006
3) Kano Y, et al: Br J Dermatol155: 301, 2006
4) 浜副隆一, 他:移植39: 448, 2004
5) 竹之下秀雄, 他:皮膚臨床47: 29, 2005
6) 桝澤政弘, 本島新司:ホルモンと臨床52: 124, 2004
7) 大田加代:香川内科医会誌41: 80, 2005
8) 石黒 伸, 他:日泌尿会誌95: 777, 2004
9) 厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業(主任研究者 橋本公二):難治性疾患(重症多型滲出性紅斑(急性期)を含む)の画期的治療に関する研究, 平成17年度 総括・分担研究報告書, p7, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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