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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

症例報告

アナフィラクトイド紫斑の経過中に膵癌が発見された1例

著者: 宮本真由美1 石川牧子1 本田えり子1 十一英子1

所属機関: 1独立行政法人 国立病院機構京都医療センター皮膚科

ページ範囲:P.289 - P.292

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要約 58歳,男性.膵仮性囊胞内感染,膵炎再発を疑われ,2005年7月に当院消化器科へ入院.9月初旬,両足関節部から足背に掻痒のある紅色丘疹が出現し,当科を受診した.1週間後,皮疹は両下腿に拡大し,浸潤を触れる紫斑が出現したため,アナフィラクトイド紫斑(以下,AP)を疑い,生検を施行した.病理所見では真皮浅層の血管周囲に好中球の浸潤,核塵,赤血球の漏出,フィブリンの沈着があり,leukocytoclastic vasculitisを呈しており,蛍光抗体直接法では血管周囲にIgAの沈着を認めたため,APと診断した.止血剤投与,下肢安静で経過観察中に膵癌(malignant spindle cell tumor)が発見された.経過中に下血,腎機能障害が出現したため,PSL30mg/日を開始し,下血の消失,腎機能改善,皮疹の消退を認めた.悪性腫瘍がAPの発症に関与したparaneoplastic vasculitisであった可能性が考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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