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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻4号

2008年04月発行

症例報告

頭部の植皮片に14年後に生じた表在型基底細胞癌の1例

著者: 齋藤京1 清水智子2

所属機関: 1さいたま市立病院皮膚科 2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.326 - P.329

文献概要

要約 83歳,女性.1991年(69歳時)に頭頂部の充実型基底細胞癌(以下,BCC)を摘出し,鼠径部からの植皮にて再建した.2005年当科受診時,植皮部内の色素斑を認め,その後徐々に拡大した.摘出術を施行し,病理学的に表在型BCCを確認した.1991年の摘出術は十分な広さで,今回が再発である可能性は低く,植皮部内に新たにBCCが発生したと考えた.自験例には,①非露光部である鼠径部の皮膚を露光部である頭頂部に植皮したところ14年を経てBCCが発症し,②毛包のある頭皮に充実型が発症し,同じ場所で毛包のない植皮片に表在型が発症したという2つの着目点があり,BCC発症における紫外線の遺伝子障害作用の関与や増殖様式の特異性に関しても貴重な症例と考えた.

参考文献

1) 平郡隆明, 他:皮膚臨床41: 582, 1999
2) 広瀬美知代, 他:皮膚臨床38: 1599, 1996
3) 古江増隆:皮膚臨床40: 1421, 1998
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5) 上田正登:日皮会誌117: 23, 2007
6) Imayama S, et al: Am J Pathol128: 497, 1987
7) 今山修平:J Visual Dermatol3: 1122, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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