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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻5号

2008年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2008 Clinical Dermatology 2008 2. 皮膚疾患の病態

線維芽細胞の機能は皮膚の部位により異なる―創傷治癒の観点より

著者: 高橋健造1 安田正人2 石川治2 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚科学 2群馬大学大学院医学系研究科皮膚病態学

ページ範囲:P.51 - P.56

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要約 ヒトの皮膚は,頭部・顔面・口唇・軀幹・掌蹠など体の部位により異なる形態や生化学的な特性を呈し,各部位に適した機能を果たす.この部位による皮膚の違いは,毛包や脂腺などの多寡や表皮角化細胞の特徴などにより説明されてきたが,最近になり真皮線維芽細胞もその生化学的な特性を変化させていることが明らかとなってきた.

 われわれは,この真皮線維芽細胞の部位特異的な形質を明らかにするため,主に軀幹・掌蹠・口腔粘膜の線維芽細胞が発現する細胞外基質および接着因子の遺伝子発現,ならびに増殖能を比較検討した.その結果,軀幹由来の線維芽細胞では,フィブロネクチンやインテグリンα5β1,carcinoembryonic antigen-related cell adhesion molecule (CEACAM)-5が特異的に発現するなど,部位による線維芽細胞の生化学的な違いが明らかとなった.さらに口腔粘膜に由来する線維芽細胞の高いbFGFへの感受性も明らかとなり,それぞれの部位での創傷治癒に対する反応性の違いも示唆される結果を得た.

参考文献

1) 高橋健造:角化機構概論―ケラチン,pp2, 最新皮膚科学大系, 第7巻(玉置邦彦総編集), 中山書店, 2002
2) Chang HY, et al:Proc Natl Acad Sci USA99: 12877, 2002
3) Yamaguchi Y, et al:J Invest Dermatol112: 483, 1999
4) Okazaki M, et al:Plast Reconstr Surg111: 286, 2003
5) Wikesjo UM, et al:J Periodontol63: 158, 1992
6) Yasuda M, et al:Br J Dermatol155: 522, 2006
7) 安田正人, 他:皮膚の科学5(6): 21, 2006
8) Penneys NS, et al:J Am Acad Dermatol4: 401, 1981
9) Stephens P, et al:Br J Dermatol144: 229, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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