icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻5号

2008年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2008 Clinical Dermatology 2008 4. 皮膚疾患治療のポイント

天疱瘡の口腔内病変に対するシクロスポリン含嗽療法

著者: 松岡晃弘1 矢島健司1 渡部秀憲1 川上民裕1 相馬良直1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.98 - P.101

文献購入ページに移動
要約 シクロスポリン内用液含嗽療法は,扁平苔癬や天疱瘡による難治性口腔内病変に対して,その有効性が報告されている.筆者らは,78歳の女性の天疱瘡患者の,ステロイド内服治療に抵抗する口腔内病変に対し,ネオーラル®内用液含嗽療法を行い,その良好な治療効果を確認した.含嗽時に口腔内灼熱感と疼痛がみられたが,粘膜症状の改善とともに軽減した.その他の副作用はなく,シクロスポリンの血中濃度も測定感度以下であった.シクロスポリン内用液は天疱瘡に対する保険適用がなく,含嗽という投与形態も認められていないため,天疱瘡に対するシクロスポリン内用液含嗽療法は安易に行ってよい治療法ではない.しかし,適切に使用すればほとんど副作用はなく,高い効果が期待できることから,ステロイド増量や免疫抑制薬内服が困難な患者に対しては,十分なインフォームド・コンセントを得たうえで,試みてもよい治療法であると思われた.

参考文献

1) Francès C, et al: Dermatologica177: 194, 1988
2) Eisen D, et al: Lancet335: 535, 1990
3) Eisen D, et al: N Engl J Med323: 290, 1990
4) Eisen D, et al: J Am Acad Dermatol23: 936, 1990
5) Gooptu C, Staughton RCD: J Am Acad Dermatol38: 860, 1998
6) Pacor ML, et al: Minerva Stomatol47: 183, 1998
7) 越後岳士, 他:臨皮59: 568, 2005
8) Azana JM, et al: J Am Acad Dermatol28: 134, 1993
9) Jitsukawa K, et al: J Am Acad Dermatol27: 625, 1992
10) 須甲松信, 奥平博一:綜合臨牀36: 1790, 1987
11) 村口 篤: 代謝21: 1537, 1984

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?