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特集 最近のトピックス2008 Clinical Dermatology 2008 4. 皮膚疾患治療のポイント
イベルメクチンの有効性と限界
著者: 大滝倫子1
所属機関: 1九段坂病院皮膚科
ページ範囲:P.118 - P.122
文献購入ページに移動要約 2006年より疥癬に経口薬イベルメクチンが保険適用され,医療側にも治療を受ける側にも多くの利点をもたらした.しかし,用法,用量などに問題点も多い.投薬対象は確定診断のついた疥癬患者である.幼小児,妊婦,授乳婦,髄膜炎や肝障害のある場合には投薬しない.1回投与量は200μg/kgである.投薬時間は空腹時とされているが,食後のほうが吸収率が2.6倍と高く,安全性,効果の点でも優れるという報告がある.投薬回数は普通の疥癬で1~2回とされるが,卵に効果がなく,健常人でも2回の投薬が必要である.高齢者の治癒率は2回でも75%と低く,角化型疥癬ではさらに数回の投薬を必要とする.難治例には外用薬の併用が有効である.投薬間隔はヒゼンダニの生活環からみて1週間がよい.角層には移行しないためか爪疥癬には効果がない.副作用は初回投与後に一時的な掻痒の増強,皮疹の増悪などがある.最近Stevens-Johnson型薬疹の報告もある.
参考文献
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