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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻5号

2008年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2008 Clinical Dermatology 2008 5. 皮膚科医のための臨床トピックス

油症の現況

著者: 吹譯紀子1 内博史1 柴田智子1 上ノ土武1 古江増隆1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野

ページ範囲:P.143 - P.145

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要約 カネミ油症が発生してから40年が経過しようとしているが,油症患者の多くは依然として油症の症状に苦しんでいる.油症研究治療班では長年データの蓄積と治療法の確立に努めており,近年も新たな知見が得られている.①比較的少量の血液からダイオキシン類を測定することが可能となり,測定値を項目に含む新たな診断基準を作成した.②油症特有の皮膚症状は現在でも患者の約3割に存在し,少数ながら重症例も認められる.③油症患者において骨・関節疾患が正常人に比べて増加している可能性があり,今後詳しく検討する.④油症に対する有効な治療法の確立のために,漢方薬やコレスチミドの内服による臨床試験を行っている.油症研究は患者のみならず,近年社会的に関心が高まりつつあるダイオキシンに曝露されている一般の人々の間でも関心が高まりつつあり,今後の発展が期待される.

参考文献

1) 勝木司馬之助:福岡医誌60: 403, 1969
2) 古江増隆, 他:福岡医誌96: 124, 2005
3) 上ノ土武, 他:福岡医誌96: 164, 2005
4) 福士純一, 他:厚生労働科学研究費, 熱媒体の人体影響とその治療法に関する研究, 平成18年度総括分担研究報告書, p30, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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