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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻5号

2008年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2008 Clinical Dermatology 2008 5. 皮膚科医のための臨床トピックス

院内感染―市中感染型MRSAの出現と今後の感染対策

著者: 飯沼由嗣1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学

ページ範囲:P.146 - P.148

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要約 市中感染型MRSA(community-acquired MRSA:CA-MRSA)は,特徴的な病原因子であるPVL(Panton-Valentine leukocidin)を保有し,主に皮膚・軟部組織感染症を起こす.感受性が比較的良好であり,メチシリン耐性遺伝子も病院感染型MRSA(hospital-acquired MRSA:HA-MRSA)とは異なるタイプを示す.欧米では,PVL陽性CA-MRSAが,市中感染起炎菌として猛威をふるっており,さらには院内感染起炎菌としても頻度が上昇してきている.わが国では,PVL陽性CA-MRSAの頻度は低いが,とびひ(伝染性膿痂疹)由来黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの頻度の上昇が報告されている.従来,主に院内で感染伝播すると考えられてきた耐性菌であるが,市中での伝播蔓延に適した株による市中感染が発生してきており,これまで以上に標準予防策の徹底やハイリスク患者に対する積極的なスクリーニングが必要と考えられる.

参考文献

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8) CDC guideline, Management of mutidrug-resistant organisms in healthcare settings, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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