臨床皮膚科62巻5号

2008年04月発行

Derm.2008

衛生説

著者： 橋爪秀夫¹

所属機関： ¹浜松医科大学皮膚科

ページ範囲：P.26 - P.26

　ちょっと意外なことだが，と同期の友人が切り出した．患者の前で“指導”されたことを不服として，若い医師が，突然登校拒否ならぬ“通勤拒否”を起こしたらしい．詳しい事情はわからないが，全く唐突なことで驚いたという．なんとなく他人事ではすまされないような危機感をもった．人間関係を結ぶことが不得手である若者が増加していると聞く．もしかしたら，医療の世界にもこのような若者たちが増えているのかもしれない．

　近年の恐るべきコンピュータの発達は，コミュニケーションの形態を大きく変えてしまっている．隣に座っているのに，メールで会話するという嘘のような話がすでに現実となっているのだ．社会もこの恩恵によって，人を介さないシステムが主流となりつつある．一方，いくら世の中が進んだとしても，医療や教育の世界では人との接触は不可欠だ．特に皮膚科のような小所帯では，患者さんはもとより，上司，看護師，他科の医師やコメディカルと上手くやることが，仕事を円滑にする大きな鍵となっているような気がしている．