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Derm.2008
皮膚科としてのアピール
著者: 松本賢太郎1
所属機関: 1静岡済生会総合病院皮膚科
ページ範囲:P.41 - P.41
文献購入ページに移動 管理診療会議などでの各科別稼働額表をみたときに,皮膚科は一人あたりの診ている患者数は一番多いくらいなのに,売り上げはというと最下位を争うくらいであるのにはやりきれなさを感じます.手術件数やMRIなどの画像検査が多くなると多少は額が高くなりますが,それでも他科に差をつけるほどにはなりません.皮膚科診療においては処置点数がなかなかとれない構造上は,現時点ではどんなにあがいても仕方ないと開き直っていますが,勤務医の先生方は会議の場でどのような心境でしょうか.今のところは周囲からの皮膚科の現状に対する理解はあるものの,今後,皮膚科の立場や存在は,次第に薄いものになってしまうのではと,特に私のところのような2人で診療している皮膚科では心配になります.何か他科の先生にインパクトを与えられるものはないかと探してみるのですが,診療上もその機会が頻繁にあるわけではありません.上腕の発赤が蜂窩織炎としての抗生剤治療で良くならず紹介受診,浸潤が強く皮膚リンパ腫を疑い,結果はNK cellリンパ腫であったこと.ウテメリン®の薬疹疑いでは,症状と経過の矛盾と陰部のびらんからクロマイ®腟錠が原因薬と考えられたこと.カポジ水痘様発疹症でしょうか,いや痂皮性膿痂疹です.専門科の診察はさすがに違うとアピールできる出来事は,日常的にはあまり多くはないかもしれませんが,日々診療技術・能力の研鑽を重ねてアピールしていくことが,皮膚科の地位向上(?) にもかかわることと思うこの頃です.
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