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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻5号

2008年04月発行

文献概要

Derm.2008

皮膚科医が「診る」ということ

著者: 菅谷誠1

所属機関: 1東京大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.80 - P.80

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 先日,「やけどが2か月治らない」という患者が初診で来ました.救急外来に電話したところ,「やけどは消毒しちゃ駄目ですよ.水道水で洗って下さい.消毒したら治らないですよ」と言われ,ずっと指示に従っていたそうです.診ると,明らかに二次感染を起こしていました.抗生物質の内服と局所消毒で1週間で上皮化しました.さて,電話で対応した医者はどうして診てもいない病変の処置を指示できたのでしょうか? この対応した医者が皮膚科医でないことを祈ります.ここで潰瘍に対する消毒の是非について議論するつもりはありません.皮膚科医が「診れば」,消毒が必要かどうかは明らかだと思うからです.

 臨床経験が10年も過ぎると,「毎回同じ処置(いわゆるdo処方)のために毎月来てもらうのは何だか悪いな」と感じることがあります.しかし,ステロイド外用中の患者に異型白癬や毛囊炎を発見するたびに「やっぱり診ておいてよかった!」と思います.頻回の受診を嫌がり,薬を多く要求する患者がいることも事実ですが,毎回診察だけで処方をしていない患者に「月一回でいいから診てください.先生に診てもらうだけで安心できます」と言われたこともあります.現在の保険制度では,皮膚科医が「診る」ことに格別の点数を与えられていませんが,皮膚科医自身がその重要性を忘れてはならないな,と思います.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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