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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻6号

2008年05月発行

文献概要

今月の症例

表皮および角層内に特徴的な角化細胞壊死を認める持続性皮疹を生じた成人Still病の1例

著者: 山本純照1 福本隆也2 宮川幸子2

所属機関: 1市立松原病院皮膚科 2奈良県立医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.354 - P.357

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要約 60歳,女性.初診の1か月前から背部に掻痒の強い持続性皮疹が生じた.その後,40℃台の発熱(spike fever),四肢の関節痛,咽頭痛も伴った.初診時,背部から腰部を中心に米粒大までの暗赤褐色丘疹が多数集簇して存在し,下背部から腰部では融合し苔癬化様局面を形成していた.また上背部では,Köbner現象と考えられる線状色素沈着を伴う紅斑も認めた.好中球優位(94%)の白血球増多,CRP上昇,フェリチン上昇,肝機能異常,リウマトイド因子陰性,抗核抗体陰性,胸腹部CTで肝脾腫,縦隔リンパ節腫大がみられた.皮疹の病理組織学的所見として,表皮および角層内の特徴的な角化細胞壊死,真皮上層の血管周囲性の好中球,リンパ球浸潤,核塵およびムチン沈着を認めた.以上から,自験例を持続性で掻痒が強く病理組織学的に表皮の角化細胞壊死を伴ういわゆる非定型疹を生じた成人Still病と診断した.プレドニゾロン40mg/日の内服により,皮疹,発熱,関節痛は消失した.

参考文献

1) Lee JY, et al: J Am Acad Dermatol52: 1003, 2005
2) 大田明英, 他:厚生省特定疾患自己免疫疾患調査研究班 平成7年度報告書, p160, 1996
3) Ohta A, et al: J Rheumatol17: 1058, 1990
4) 大田明英, 他:診断と治療79: 2658, 1991
5) Kaur S, et al: Dermatology188: 241, 1994
6) Lübbe J, et al: Br J Dermatol141: 710, 1999
7) Wolgamot G, et al: Am J Dermatopathol29: 194, 2007
8) Suzuki K, et al: Dermatology202: 333, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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