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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻6号

2008年05月発行

文献概要

症例報告

砒素の関与を疑った多発性Bowen病の1例

著者: 近藤亨子1 石黒直子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.400 - P.402

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要約 73歳,女性.初診の約2年前より,四肢の結節が増大してきた.掌蹠には半米粒大の角化性小結節が多発し,四肢に径3cm大までの紅色から褐色の角化性扁平結節が多発していた.病理組織学的には,掌蹠の結節は砒素角化症に,四肢の結節はBowen病に合致した.画像検査では内臓悪性腫瘍は認めない.砒素剤による治療歴や砒素を扱う職業歴はなかったが,生活歴として20歳頃まで井戸水の飲水歴があり,井戸水が砒素により汚染されていた可能性が疑われ,慢性砒素中毒による多発性Bowen病と考えられた.

参考文献

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2) 桑原まゆみ, 他:皮膚28: 281, 1986
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8) 出盛允啓, 他:日皮会誌110: 1121, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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