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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻7号

2008年06月発行

文献概要

今月の症例

Netherton症候群の成人例

著者: 広瀬憲志1 大浦一1 武市浩美1 安齋眞一1 滝脇弘嗣1 荒瀬誠治1 佐川禎昭2 藤本篤夫3

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚運動系病態医学講座皮膚科学 2佐川皮膚科 3藤本クリニック

ページ範囲:P.438 - P.441

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要約 28歳,男性.家族に血族結婚なし,Netherton症候群なし.身長153cm.生下時よりほぼ全身に紅斑があった.幼少期からステロイド軟膏外用により,皮疹は軽快・増悪を繰り返していた.初診時,顔面,特に口囲に強い紅斑があり,体幹・四肢では弧状および環状の紅斑がみられ,辺縁では典型的なdouble edgeの鱗屑を伴っていた.眉毛に竹節状裂毛・切断毛あり.末梢血では白血球数,IgEの上昇がみられた.病理組織学的には乾癬様皮膚炎,角質の剝離を認めた.免疫組織化学染色にて,健常人表皮では顆粒層にLEKTI蛋白の発現がみられたが,患者表皮では認められなかった.曲折線状魚鱗癬様紅斑,アトピー素因,竹節状裂毛,低身長などの特徴的な症状,免疫組織化学染色よりNetherton症候群と診断した.SPINK5遺伝子解析では,exon25にstop codonを導く変異を検出したが,もう一方のアレルでは不明であった.

参考文献

1) Netherton EW: Arch Dermatol78: 483, 1958
2) Chavanas S, et al: Nat Genet25: 141, 2000
3) 小松奈保子:臨皮57: 51, 2003
4) 水野優起, 他:日皮会誌116: 1319, 2006
5) Ong C, et al: Br J Dermatol151: 1253, 2004
6) Simomura Y, et al: Br J Dermatol153: 1026, 2005
7) Mizuno Y, et al: Br J Dermatol153: 661, 2005
8) 小松奈保子:先端医療シリーズ38, 皮膚疾患の最新医療(斎田俊明, 飯塚 一編), 先端医療技術研究所, p187, 2006
9) Komatsu N, et al: Clinica Chimica Acta377: 228, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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