臨床皮膚科62巻7号

2008年06月発行

症例報告

多数の稗粒腫を伴ったmyeloma-associated systemic amyloidosisの1例

著者： 新田悠紀子¹ 大野稔之¹ 森谷鈴子² 大橋春彦³

所属機関： ¹国立病院機構名古屋医療センター皮膚科 ²国立病院機構名古屋医療センター病理部 ³国立病院機構名古屋医療センター血液内科

ページ範囲：P.476 - P.479

要約　77歳，男性．内・外眼角に易出血性蝋様を呈した淡紅色丘疹，頸部には稗粒腫の多発した紫斑局面あり．頸部皮膚生検にてAL型アミロイドの沈着と稗粒腫を認め，電顕的検索でアミロイド線維を確認した．骨髄穿刺にて異型形質細胞の増加，Bence Jones蛋白λ型M蛋白を認めたが，骨病変は明らかではなかった．多発性骨髄腫を伴った全身性アミロイドーシスと診断した．プレドニゾロンとメルファランで治療したが，1年後に突然の下血をきたし，播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation：DIC)を併発し，死亡した．

参考文献

1) 磯部　敬：アミロイドーシス, 名古屋大学出版会, p57, 1987

2) 厚生省特定疾患調査研究班新分類, 厚生省特定疾患アミロイドーシス調査研究報告書, p13, 1999

3) Nodl F, Zaum H: Arch Klin Exp Derm220: 393, 1964

4) 柳原　誠：現代皮膚科学大系追補2, 中山書店, p191, 1987

5) 相馬良直：血液フロンティア14: 31, 2004

6) Talarico L, et al: JAMA249: 1322, 1983

7) Breathnach SM: J Am Acad Dermatol18: 1, 1988

8) 橋本明彦, 他：皮膚病診療15: 41, 1993

9) 仁田原綾乃, 他：皮膚病診療27: 769, 2005

10) 河瀬　歩, 他：皮膚病診療27: 773, 2005

11) 影山葉月, 他：臨皮61: 162, 2007