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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻7号

2008年06月発行

文献概要

症例報告

Nanta骨母斑の6例

著者: 井上織部1 杉本恭子1

所属機関: 1松阪市民病院皮膚科

ページ範囲:P.480 - P.483

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要約 症例1:68歳,女性.右頰部の紅色丘疹を伴う褐色から正常皮膚色小結節.症例2:49歳,男性.左眉毛部の黒色有毛性小結節.症例3:36歳,女性.右耳前部の黒色小結節.症例4:66歳,女性.左頰部の正常皮膚色小結節.症例5:49歳,女性.左頰部の黒色小結節.症例6:57歳,女性.右頰部の褐色小結節.症例1,3~6は真皮内母斑,症例2は複合母斑で,それぞれ近傍に異所性骨組織がみられたため,Nanta骨母斑と診断した.本症の発症機序には炎症が関与すると考えられている.症例1,2,5では病理組織学的に毛囊や表皮囊腫様構造周囲の炎症細胞浸潤が確認され,症例3では病理組織学的には炎症所見はなかったが,時折出血を繰り返す既往があった.しかし,症例4,6では臨床的にも病理組織学的にも炎症の存在はなかった.

 筆者らが5年4か月で経験した母斑細胞母斑は108個で,Nanta骨母斑は上記6個(5.6%)であった.特に顔面では10%に骨形成を合併した.本症は標本作製時に組織が損傷することが多く,より詳細な観察により,さらに頻度は増加すると推定される.

参考文献

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2) Nanta A: Ann Dermatol Syph2: 562, 1911
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7) 舟橋美雪, 他:臨皮50: 737, 1996
8) 前田文彦, 他:臨皮54: 353, 2000
9) Roth SI, et al: Arch Pathol76: 44, 1963
10) Keida T, et al: J Dermatol32: 442, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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