臨床皮膚科62巻7号

2008年06月発行

症例報告

神経線維腫症1型に合併した悪性末梢神経鞘腫瘍の姉弟例

著者： 石川めぐみ¹ 安藤典子² 岩本拓¹ 原田和俊¹ 古橋正男¹ 川村龍吉¹ 柴垣直孝¹ 佐藤栄一³ 村田晋一⁴ 島田眞路¹

所属機関： ¹山梨大学医学部皮膚科学教室 ²山梨厚生病院皮膚科 ³山梨大学医学部整形外科学教室 ⁴山梨大学医学部人体病理学講座

ページ範囲：P.487 - P.489

要約　症例1：68歳，男性．神経線維腫症1型．症例2の弟．2001年と2003年，左上腕に皮下腫瘤が出現し，病理組織学的所見より神経線維腫と診断された．2005年，同部位に皮下腫瘍が出現し，病理組織学的所見より悪性像を伴う神経鞘腫が疑われた．2006年，受診の約1か月前より同部位に皮下腫瘤が出現，病理組織にて異型性のある紡錘形細胞の増殖を認め，悪性末梢神経鞘腫瘍と診断した．症例2：76歳，女性．神経線維腫症1型．症例1の姉．後頸部に皮下腫瘤が出現し徐々に増大したが，放置していた．初診時，約13cm大で弾性硬の皮下腫瘤を認め，切除術を施行した．病理組織学的に，症例1と同様に悪性末梢神経鞘腫瘍と診断した．神経線維腫症1型で悪性末梢神経鞘腫瘍が合併することはよく知られているが，本邦において姉弟例の報告はない．

参考文献

1) Takeuchi A, et al: Histopathology39: 298, 2001

2) 大田有史：最新皮膚科学大系, 第13巻, 中山書店, p16, 2002

3) Ducatman BS, et al: Cancer57: 2006, 1986

4) 新村眞人：皮膚病診療10: 1013, 1988

5) 二ノ宮邦稔, 他：形成外科46: 1083, 2003

6) 高橋博之：日皮会誌98: 987, 1988