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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻7号

2008年06月発行

文献概要

症例報告

Liposomal doxorubicinが有効であったAIDS関連型皮膚Kaposi肉腫の3例

著者: 永井彩子1 齋藤万寿吉1 入澤亮吉1 泉美貴2 大滝学3 福武勝幸3 坪井良治1

所属機関: 1東京医科大学皮膚科学教室 2東京医科大学病理部 3東京医科大学臨床検査医学科

ページ範囲:P.494 - P.497

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要約 2000~2005年までに東京医科大学病院においてliposomal doxorubicin(Doxil(R))を用いて治療したacquired immune deficiency syndrome(AIDS)関連型Kaposi肉腫(Kaposi's sarcoma:KS)3例について報告した.3症例はすべて男性で,1例はKS発症後にAIDSの診断に至り,2例はAIDS発症後にKSが出現した.発症時CD4陽性細胞数は3例とも150/μl以下であった.免疫組織化学的に腫瘍細胞はCD31,CD34,D2-40に陽性であり,human herpesvirus(HHV)-8の潜伏感染蛋白LANA(latency associated nuclear antigen)は腫瘍細胞の核で点状に染色された.AIDSに対する多剤併用抗レトロウイルス療法(highly active antiretroviral therapy:HAART)に追加して,KSに対しては3例ともliposomal doxorubicinを20mg/m2,3~4週間の間隔をあけて投与した.10~23か月後,KSは消失し,再燃を認めていない.近年,HAARTによりHIV感染者の予後は著しく改善し,liposomal doxorubicinの併用によりAIDS関連型KSの予後も著しく改善した.

参考文献

1) 赤城久美子:Kaposi肉腫, 最新皮膚科学大系15巻, 中山書店, p56, 2003
2) 赤城久美子, 他:日皮会誌114: 1265, 2004
3) 源河いくみ, 他:J AIDS Res5: 393, 2003
4) Northfelt DW, et al: J Clin Oncol16: 2445, 1998
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6) Palella FJ, et al: N Engl J Med338: 853, 1998
7) Lasso M, et al: Rev Med Chil131: 483, 2003
8) 菊池 嘉, 他:厚生科学研究費補助金エイズ対策研究事業 平成11年度研究報告書, p198, 2000
9) Moore PS, et al: N Engl J Med332: 1181, 1995
10) 上田啓次:最新医学60: 252, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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