icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻8号

2008年07月発行

文献概要

今月の症例

環状紅斑を呈したVater乳頭部癌の皮膚転移例

著者: 森澤有希1 藤本典宏1 小林孝志1 多島新吾1 杉浦芳章2

所属機関: 1防衛医科大学校皮膚科学教室 2防衛医科大学校第2外科学教室

ページ範囲:P.523 - P.525

文献購入ページに移動
要約 52歳,男性.2004年12月にVater乳頭部癌に対し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行された.2005年10月頃より腹部手術創の周囲に紅斑が出現したが,放置していた.2005年11月,全身の多発性骨転移のため,放射線化学療法施行目的で入院した.外科入院中に腹部の紅斑の色調が濃くなってきたことを主訴に,2005年12月当科を初診した.初診時,腹部手術創周囲に大小不同の浸潤のない環状紅斑が散在していた.病理組織では,真皮脈管内に腫瘍細胞浸潤がみられ,管状に増殖(moderately differentiated tubular adenocarcinoma:tub2)しており,Vater乳頭部癌の皮膚転移と診断した.皮疹は,放射線化学療法施行中に改善傾向を示し,2006年1月の当科再診時には消退していたが,同年6月に永眠した.環状紅斑を呈した皮膚転移は比較的稀である.

参考文献

1) 渡辺知雄, 木村俊次:臨皮35: 945, 1981
2) 和泉達也, 他:臨皮46: 1125, 1992
3) 武内重五郎, 他:内科7: 177, 1961
4) 森 庸亮, 他:皮膚7: 374, 1965
5) 熊谷武夫, 他:皮膚臨床12: 225, 1970
6) 清水正之:日皮会誌81: 720, 1971
7) 大槻典男, 他:皮膚病診療2: 338, 1980
8) 安間みどり, 片岡 将:日皮会誌95: 620, 1985
9) 古場慎一, 山口淳三:西日皮68: 112, 2006
10) 川村太郎, 他:皮膚臨床7: 770, 1965
11) 加藤礼三, 上野賢一:皮膚臨床13: 763, 1933
12) 宮地良樹, 今村貞夫:皮病診療3: 19, 1981
13) Holt PJA, et al: Br J Dermatol96: 343, 1977
14) 日野博夫, 他:日臨外科医誌52: 394, 1991
15) Mehregan AH: Cancer of the Skin, Saunders, Philadelphia, p1279, 1979
16) 田中雅祐, 他:臨皮30: 893, 1976
17) Brownstein MH, et al: Arch Dermatol107: 80, 1973
18) 中村久也, 他:医学のあゆみ59: 585, 1966

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?