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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻8号

2008年07月発行

文献概要

症例報告

乳幼児に生じた環状肉芽腫―汎発型および皮下型の各1例

著者: 三原清香1 渋沢弥生1 永井弥生1 石川治1

所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科皮膚病態学

ページ範囲:P.541 - P.544

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要約 症例1:1歳,女児.初診1か月前より両下肢,次いで上肢,臀部に皮疹が出現した.小指大までの扁平隆起する結節が多発し,一部は環状を呈していた.病理組織学的所見で真皮内に変性・断裂した膠原線維と周囲の炎症細胞浸潤がみられ,肉芽腫病変が散在しており,汎発型環状肉芽腫と診断した.症例2:5歳,男児.初診2年前より左足背に皮疹が出現した.くるみ大ほどの不整形,辺縁が隆起する紅斑があり,同部に米粒大ほどの皮下結節を数個触知した.病理組織学的所見では真皮中層~脂肪織にかけて肉芽腫病変がみられ,定型疹を伴う皮下型環状肉芽腫(GA)と診断した.いずれも生検後に皮疹は消退傾向を示した.本邦報告例を検討したところ,小児のGAでは,糖尿病などの合併症はなく,非定型疹を呈する例が多いため,確定診断には生検が必要である.また,94%の症例において生検後,無治療で消退,軽快しており,経過観察が有用と考える.

参考文献

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11) 鐵田ゆう子, 他:皮病診療25: 307, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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