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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻8号

2008年07月発行

症例報告

急速に拡大した壊疽性膿皮症の1例

著者: 大東淳子1 井口愛1 臼井智彦1 浅井純1 益田浩司1 竹中秀也1 加藤則人1 岸本三郎1

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学

ページ範囲:P.589 - P.592

文献概要

要約 71歳,女性.初診の2週間前より,左大腿後面に紅色丘疹が出現し,徐々に潰瘍を形成した.他医にて抗生物質を投与されたが,潰瘍は増悪してきた.初診時,左大腿後面に直径5cmの周囲に血疱,浮腫を伴う穿掘性潰瘍を認めた.その後,潰瘍は急速に拡大し,受診6日後には直径18cmの筋膜に及ぶ潰瘍となったため,緊急入院した.初診時の細菌,真菌,抗酸菌の培養はすべて陰性であった.潰瘍部の病理組織像では,真皮全層から脂肪織にかけて好中球優位の炎症細胞浸潤を認めた.以上より,壊疽性膿皮症と診断し,プレドニゾロン40mg/日の内服を開始した.潰瘍はプレドニゾロン開始直後より,著明に改善傾向を示した.入院後の検査で,非特異的な炎症性腸炎がみられた.自験例のように急速に病変が拡大する例では,迅速に壊死性筋膜炎と鑑別し,副腎皮質ステロイド薬を早期より投与することが重要であると考えた.

参考文献

1) Brunsting LA, et al: Arch Dermatol22: 655, 1930
2) 小宮根真弓:最新皮膚科学大系9, 中山書店, p240, 2002
3) 岩月啓氏, 荒田次郎:標準皮膚科学第7版, 医学書院, p387, 2004
4) Borlu M, et al: J Eur Acad Dermatol Venereol15: 185, 2001
5) Harris AJ, et al: BMJ316: 52, 1998
6) Tay YK, et al: Arch Fam Med7: 377, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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