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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻9号

2008年08月発行

文献概要

症例報告

Myeloperoxidase antineutrophil cytoplasmic antibody陽性で壊死性血管炎像を伴ったlimited cutaneous systemic sclerodermaの1例

著者: 新田悠紀子1 安成根1 大野稔之1

所属機関: 1名古屋医療センター皮膚科

ページ範囲:P.631 - P.634

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要約 75歳,女性.1985年よりRaynaud症状,手指の小潰瘍,逆流性食道炎,顔面の血管拡張を認め,CREST症候群と診断し,ニコチン酸トコフェロール内服で経過観察中であった.2006年5月,下腿に数個の潰瘍を生じた.生検でleukocytoclastic vasculitisの像を呈し,myeloperoxidase antineutrophil cytoplasmic antibody(MPO-ANCA)60EUと陽性化した.MPO-ANCAが関連した壊死性血管炎の像を伴ったlimited cutaneous systemic sclerodermaと診断した.下腿潰瘍は難治であったが,プレドニゾロン,シクロホスファミドの内服にて,3か月後にはMPO-ANCAは陰性化し,下腿潰瘍も徐々に縮小し,治癒した.近年,systemic sclerodermaではMPO-ANCA高力価陽性の正常血圧強皮症腎クリーゼが報告されているが,低力価では血管炎を示さず,臨床的意義は低いとされている.本症では,MPO-ANCAは低力価陽性であったが,壊死性血管炎の像を呈する下腿潰瘍を伴った.

参考文献

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12) 橋本博史, 他:日臨免会誌24: 336, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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