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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻9号

2008年08月発行

症例報告

仙骨部の腫瘤と大臀筋に著明なアミロイドの沈着をみた全身性ALアミロイドーシスの1例

著者: 花川博義1 刀川信幸1 柳原誠1 二村明広2 古谷正晴3 本多正治3 林伸一4 星井嘉信5 石原得博5

所属機関: 1真生会富山病院皮膚科 2真生会富山病院内科 3真生会富山病院外科 4富山大学医学部病理診断学講座 5山口大学医学部病理学講座

ページ範囲:P.635 - P.638

文献概要

要約 70歳,男性.1年前からの仙骨部の腫瘤を主訴に受診した.仙骨部にクルミ大の淡紅色の腫瘤があり,両臀部に手掌大から児頭大の板状硬結がみられた.腫瘤と板状硬結部はともに,病理組織学的に真皮中層から皮下組織にびまん性にアミロイドの沈着が認められ,アミロイドは免疫グロブリンL鎖(λ型)に対する抗体に陽性であった.胃粘膜生検では血管周囲にアミロイドが沈着していた.血清M蛋白陽性(BJP-λ型),尿中B-J蛋白陽性(λ型)であった.骨髄に異型性のある形質細胞の単クローン性増殖を認め,多発性骨髄腫に伴うALアミロイドーシスと診断した.アミロイドが沈着していた仙骨部腫瘤はMRI T2強調像で高信号を示した.また,臀部硬結部は大臀筋が肥大し,その中に前者と同等の高信号を示す部位が混在し,この信号強度は皮膚にまで及んでいた.大臀筋へのアミロイドの大量の沈着が推測された.剖検で内臓臓器実質への大量なアミロイド沈着は認めなかった.

参考文献

1) 柳原 誠:最新皮膚科学大系10巻, 中山書店, p32, 2003
2) 土井福子, 他:日皮会誌95: 1365, 1985
3) 柳原 誠, 他:Visual Dermatology3: 502, 2004
4) 菊池 新, 他:臨皮47: 593, 1993
5) 山本有紀, 他:皮膚病診療19: 519, 1997
6) 井口豊崇, 他:臨床血液46: 507, 2005
7) Whitaker JN, et al: Neurology27: 47, 1977
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9) 小宮山純, 他:臨床神経31: 296, 1991
10) Windhagen A, et al: Neurology65: 1670, 2005
11) 小宮山純, 他:神経内科45: 82, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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