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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科62巻9号

2008年08月発行

文献概要

症例報告

Mucinous carcinoma of the skinの1例

著者: 上村春子1 井上卓也1 平島徳幸1 三砂範幸1 成澤寛1

所属機関: 1佐賀大学医学部内科学皮膚科

ページ範囲:P.655 - P.658

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要約 59歳,男性.13歳頃より鼻部左側に小豆大の結節が出現し,徐々に増大してきた.初診時,鼻部左側に直径2.5cmの皮下腫瘤の上に,直径1.5cmの毛細血管拡張を伴う淡紅色,弾性硬,透明感のある半球状腫瘤があり,圧痛なく,可動性は良好であった.病理組織像で,真皮内に線維性隔壁で境界された粘液囊胞様構造がみられ,その内部は多量のムチンで満たされ,島状に浮遊するような腫瘍細胞巣を認めた.免疫組織学的検査では腫瘍細胞はCK7陽性,CK20陰性,GCDFP-15陽性であった.全身検索の結果,他臓器の悪性腫瘍の所見を認めなかったことから,mucinous carcinoma of the skinと診断した.全身麻酔下に腫瘍辺縁より1cm離し,骨膜および一部眼窩内脂肪織を含め切除し,前額部皮弁で再建した.術後1年経過するが,局所再発および転移所見は認めない.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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