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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻10号

2009年09月発行

今月の症例

ミルクアレルゲン除去ミルク単独哺育によるビオチン欠乏症の1例

著者: 加瀬貴美1 森川玲子1 村本文男2 新飯田裕一3

所属機関: 1恵み野皮膚科クリニック 2しのろ皮膚科医院 3北海道立子ども総合医療・療育センター特定機能周産期母子医療センター

ページ範囲:P.716 - P.719

文献概要

要約 5か月,男児.生後4か月頃から口囲,頸部,腋窩,陰股部に紅斑が出現し始め,その後,眼瞼,軀幹,手指にも厚い鱗屑と小膿疱を伴う紅斑が広がった.頭髪は疎で,爪甲は脆く肥厚していた.臨床的に腸性肢端性皮膚炎に酷似していたが,血清亜鉛値は正常で,病理組織学的には乾癬様であった.患児が摂取していたミルク中にビオチンは含まれていなかったことからビオチン欠乏症と診断し,ビオチン2mg/日を投与したところ,内服開始2週後には劇的に改善した.ビオチンは,わが国においては食品衛生法の制約からいまだに乳児用調製粉乳に添加することができないのが現状である.法の整備が望まれる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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