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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻10号

2009年09月発行

文献概要

症例報告

灯油皮膚炎の3例

著者: 紺野隆之1 紺野恵理子1

所属機関: 1公立置賜総合病院皮膚科

ページ範囲:P.725 - P.728

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要約 症例1:85歳,男性.灯油の吸着した衣服を着用し,右下肢,体幹右側に灯油皮膚炎を受傷した.3日目に38℃の発熱があり,翌日には解熱して受傷6日目にほぼ上皮化した.症例2:85歳,女性.ズボンに灯油がかかり,右大腿,臀部に灯油皮膚炎を受傷した.5日目に37℃台の発熱があり,2日で解熱して受傷12日目にほぼ上皮化した.症例3:84歳,女性.灯油のかかった着衣を着たまま就寝し,右大腿,両下腿に灯油皮膚炎を受傷した.4日目に38.9℃の発熱があり,翌日には解熱した.受傷7日目にほぼ上皮化した.灯油皮膚炎では時に,腎障害,肝障害,意識障害,筋融解などの臓器障害を合併することがあるが,自験例では3例とも受傷後3~5日目に発熱がみられた.いずれも経過観察のみで2日以内に解熱したことから,経皮を含め何らかの経路で体内に吸収された灯油による反応である可能性も考えられた.

参考文献

1) 利谷昭冶: 皮膚科診断治療大系1, 講談社, p96, 1986
2) 内藤裕史: 中毒百科―事例・病態・治療, 改訂第2版, 南江堂, p2, 2001
3) 木村郁志, 他: 皮膚臨床 43: 1028, 2001
4) 沖村博史, 他: 皮膚 34: 140, 1992
5) 尾之内博規: 皮膚臨床 46: 956, 2004
6) 辻野佳雄, 他: 皮膚臨床 44: 1583, 2002
7) 吉村正一郎, 他: 急性中毒情報ファイル, 廣川書店, p180, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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