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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻11号

2009年10月発行

文献概要

症例報告

帯状疱疹後に発症した薬剤性過敏症症候群の1例

著者: 堀江千穂1 稲岡峰幸1 井上桐子1 平原和久1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.812 - P.816

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要約 55歳,女性.2007年9月14日近医にて左大腿の帯状疱疹と診断され,9月18日より同部の疼痛に対し,カルバマゼピンが投与された.約1か月後,肝障害が出現したため投与中止し,その4日後から発熱とともに,ほぼ全身に紅色丘疹・紅斑を生じた.病理組織所見では,真皮浅層の血管周囲性に,リンパ球に加え著明な好酸球と好中球の浸潤を認めた.肝・腎機能障害,好酸球増多,異型リンパ球があり,発症約2週間後に全血中からHHV6・HHV7-DNAが検出された.カルバマゼピンの薬剤リンパ球刺激試験は,発症約1か月後には429%と高値を示した.上記よりカルバマゼピンによるDIHSと診断し,保存的治療のみを行ったが,皮疹は3峰性の経過をとり,治癒までに約1か月を要した.DIHS発症前にもヘルペスウイルスの再活性化を生じている症例が散見されるが,水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化がDIHS発症の誘因となっている可能性について考察した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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