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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻11号

2009年10月発行

文献概要

症例報告

帯状疱疹罹患部位より発症し肉芽腫反応を認めた薬剤性過敏症症候群の1例

著者: 稲岡峰幸1 堀江千穂1 井上桐子1 平原和久1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.817 - P.820

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要約 69歳,女性.左上肢の帯状疱疹後神経痛に対して開始されたカルバマゼピン内服約3か月後に,左上肢に紅斑と発熱が出現した.受診時,ほぼ全身に貨幣大までの紫紅色斑が多発し,帯状疱疹部位の左上肢では紅斑は増強し,腋窩リンパ節は腫脹していた.腹部の紅斑では,真皮上層から下層に組織球の密な浸潤からなる肉芽腫様の変化を認めた.軽度の肝機能障害と末梢血好酸球およびHHV6 IgGの増加を認め,薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)と診断した.カルバマゼピンの中止と補液のみで皮疹は軽快した.帯状疱疹後に肉芽腫を形成した例は国内外で報告されているが,自験例は帯状疱疹部以外のDIHSの病変部に肉芽腫を生じていた点が特異であった.DIHSの際に,水痘-帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する一過性の肉芽腫反応が生じたと考えられた.

参考文献

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10) Kato M, et al: Br J Dermatol 139: 357, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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