文献詳細
症例報告
文献概要
要約 75歳,女性.数か月前から舌下部に硬い結節を自覚していたが,放置していた.初診の3日前から同部に疼痛が出現したため,近医を受診し,フロモックス®とロキソニン®を処方されたが,腫脹と疼痛が増悪してきた.当科受診時,舌下部右側に約5×15mm大の表面が平滑で弾性やや硬の疼痛を伴う粘膜下結節を認めた.摘出術を予定したが,当科受診の3日後に患者が指で結節部を圧迫したところ,最大径5×3mm大の硬固物が19個排出された.自然排出した物質を赤外線分光分析により成分分析を行ったところ,主成分はリン酸カルシウムの一種であるハイドロキシアパタイトと蛋白質であり,これまでに報告されている唾石の成分に矛盾しないものであった.
参考文献
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