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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻11号

2009年10月発行

文献概要

臨床統計

溶連菌性膿痂疹とアトピー性皮膚炎の関連―教室例の解析

著者: 倉田麻衣子1 早川和人1 井上桐子1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.876 - P.880

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要約 2002~2006年の5年間に,当科で施行した皮膚培養からA群溶連菌(group A streptococcus:GAS)が検出された95例について検討した.疾患は溶連菌性膿痂疹が30例と最も多く,全体の32%を占めていた.溶連菌性膿痂疹のうち,77%の症例が基礎疾患としてアトピー性皮膚炎(AD)を有しており,他疾患に比べ著しく高率であった.基礎にADを有する膿痂疹症例は,23例中10例(43%)がRajka & Langelandの重症度分類で重症に分類された.これらの症例では,ADを有さない症例と比べ顔面の罹患率は明らかに高値であった(65%vs29%).重症10例では,不明を除く8例中4例で発症前3か月間ステロイド外用薬,タクロリムス軟膏は全く使用されておらず,その4例中3例で広範囲に膿痂疹を認めた.A群溶連菌による膿痂疹はADの重症度と密接な関連があり,特に治療の中止は溶連菌性膿痂疹発症の重要なリスクファクターと考えられる.

参考文献

1) 早川和人, 他: 日皮会誌 115: 468, 2005
2) Rajka G, Langeland T: Acta Derm Venereol 144(Suppl): 13, 1989
3) 西脇宗一: 日皮会誌 96: 1473, 1986
4) 西嶋攝子, 他: 日皮会誌 103: 1881, 1993
5) Adachi J, et al: J Dermatol Sci 17: 45, 1998
6) 谷口裕子, 他: 日皮会誌 109: 2129, 1999
7) McGirt LY, Beck LA: J Allergy Clin Immunol 118: 202, 2006
8) Hasannejad H, et al: J Allergy Clin Immunol 120: 69, 2007
9) Izadpanah A, Gallo RL: J Am Acad Dermatol 52: 381, 2005
10) Rieg S, et al: J Immunol 174: 8003, 2005
11) 神田弘貴, 他: 皮膚臨床 36: 645, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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