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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科63巻12号

2009年11月発行

雑誌目次

連載 Clinical Exercise・27

Q考えられる疾患は何か?

著者: 田村政昭

ページ範囲:P.889 - P.890

症例

患 者:6か月,女児

主 訴:頭頂部の皮疹

家族歴:特記すべきことなし.

既往歴:鉗子分娩など,出生時外傷なし.

現病歴:生下時より右頭頂部に大豆大の紅色で隆起した皮疹があり,約2か月ほどの間に急速に増大し,鳩卵大になった.その後大きさには著変を認めなかったが,黄色調を帯びてきた.

現 症:右頭頂部に24×22mm大の帯黄色でドーム状に隆起した結節が存在した.中央部は痂皮が付着し陥凹していた.弾性硬で,下床とは可動性があった(図1).

症例報告

パルスオキシメータによる小児の低温熱傷の3例

著者: 米田真理 ,   矢島智子 ,   菊池麻衣子 ,   大畑千佳 ,   牧一郎

ページ範囲:P.892 - P.895

要約 症例1:2歳8か月,女児.川崎病にて,左第1指にパルスオキシメータ(pulseoxymeter:PO)プローブを24時間装着後,プローブ交換時に,左第1指後爪郭に一部びらんを伴う暗赤色斑が認められた.症例2:1歳7か月,女児.肺炎にて,左第1指にPOプローブを24時間装着後,プローブ交換時に,左第1指の指腹に紅斑,指背に紅斑と水疱が認められた.症例3:7歳,男児.急性気管支炎にて,右第1趾にPOプローブを24時間装着後,プローブ交換時に,右第1趾全体の発赤と趾腹に水疱を認めた.3症例共通して,当院小児科に入院しており,POプローブはテープで強固に24時間装着されたままであった.POプローブ装着による圧迫,発光部の発熱の相乗作用により低温熱傷が生じたと考えた.

発汗障害を認めた帯状疱疹の1例

著者: 井上桐子 ,   佐藤洋平 ,   平原和久 ,   早川順 ,   塩原哲夫

ページ範囲:P.896 - P.899

要約 45歳,男性.免疫異常や神経ブロックの治療歴はない.右上肢の違和感に引き続いて同部の発汗過多が出現し,1週間後,同部に有痛性の紅色皮疹が一過性に出現した.同時に上半身に両側性に散在する紅色皮疹を認めた.しかし,当科初診時には右上肢の皮疹はすべて消失し,同部の疼痛と右上半身の乾燥,発汗反応の低下を認めるのみであった.水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)IgG抗体価の上昇と,紅色皮疹の生検組織でVZV DNAを検出したことから,汎発性帯状疱疹と診断した.自験例は,帯状疱疹が原因不明の分節型減汗症の原因の1つであることを示唆している.帯状疱疹後に発汗障害を呈する例は,これまでHorner症候群を呈した場合以外ほとんど報告されてこなかったが,実際には見逃されている可能性が高い.

多形紅斑様皮疹が先行したChurg-Strauss症候群の1例

著者: 笠井弘子 ,   大内健嗣 ,   森本亜里 ,   高江雄二郎 ,   石井健 ,   海老原全 ,   陳科榮 ,   天谷雅行

ページ範囲:P.900 - P.904

要約 57歳,男性.1年前より遷延する咳嗽,4か月前より皮疹が出現した.他院で,プレドニゾロン(PSL)内服による軽快と,中止後の症状再燃を繰り返していた.今回PSLの中止8日後,発熱,咳嗽,多形紅斑様皮疹,好酸球増多を認めた.紅斑消退後,下腿に紫斑,多発性単神経炎が出現した.病理組織学的所見は,紅斑では血管炎を欠く好酸球の浸潤,紫斑では好酸球浸潤を伴う白血球破砕性血管炎であった.Churg-Strauss症候群(CSS)と診断し,PSL1mg/kg/日投与開始後,速やかに諸症状は改善した.本邦での皮膚症状を呈するCSS報告例を集計した結果,血管炎の前駆症状として紅斑,膨疹,丘疹が挙げられた.本症例では,咳嗽・多形紅斑様皮疹が前駆症状として出現し,血管炎への移行が明瞭に観察された.CSSの典型的病理臨床像は血管炎を伴う紫斑であるが,前駆症状として多彩な皮疹を呈することが確認された.

ライチとマンゴーによる口腔アレルギー症候群の1例

著者: 洞口由香 ,   花田美穂 ,   小野寺英恵 ,   赤坂俊英

ページ範囲:P.905 - P.908

要約 7歳,男児.既往歴にアトピー性皮膚炎と気管支喘息はあるが,花粉症はなし.冷凍ライチを摂食直後に咽頭部の違和感,咳症状が出現した.以前にもライチ摂食後に同様のエピソードがあり,そのほかに,マンゴー摂食直後に口唇の腫脹が出現したことがある.臨床症状と皮膚テストの結果からライチ(ムクロジ目ムクロジ科)と植物学的近縁関係のあるマンゴー(ムクロジ目ウルシ科)による口腔アレルギー症候群と診断した.

エタネルセプトによる紫斑型薬疹の1例

著者: 田中純江 ,   佐藤良博 ,   寺木祐一 ,   伊崎誠一

ページ範囲:P.909 - P.911

要約 72歳,女性.関節リウマチのため,2008年5月28日よりエタネルセプトの皮下注射を開始した.6月10日,5回目の注射後より両下腿に紫斑がみられた.また,両上腕,腹部,右大腿部の注射部位に一致して淡い紅斑もみられた.病理組織学的には,下腿の紫斑は真皮浅層の血管周囲のリンパ球浸潤と赤血球の血管外漏出によるものであった.皮疹はエタネルセプトの中止により5日ほどで消退し,以後出現しなかった.エタネルセプトに対する薬剤リンパ球刺激試験のSI値は9.1と強陽性であった.エタネルセプトによる紫斑型薬疹と診断し,感作リンパ球が関連する紫斑と考えた.

潰瘍性大腸炎に合併し,皮下膿瘍を伴った壊疽性膿皮症の2例

著者: 糟谷啓 ,   松下佳代 ,   西尾大介

ページ範囲:P.912 - P.916

要約 症例1:57歳,男性.54歳時より潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)にて加療されていた.UCの増悪に伴い,前胸部,四肢に有痛性の皮下膿瘍が出現した後,一部は自壊し穿掘性の潰瘍となった.病理組織像では,真皮全層および皮下組織に好中球が密に浸潤していた.臨床像と病理組織像より壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum:PG)と診断した.症例2:31歳,女性.18歳時よりUCにて加療中であったが,UCの再燃時より,四肢伸側に有痛性の紅斑と皮下膿瘍が出現した.下腿部の皮下膿瘍は自壊し,穿掘性の潰瘍が形成された.病理組織像では,真皮中層から皮下組織に好中球が浸潤し,臨床像とあわせPGと診断した.膿疱型のPGでは角層下膿疱の形成や真皮浅層への炎症細胞浸潤の報告は多いが,皮下組織に大型の膿瘍を伴うPGの報告は少ない.

テトラサイクリン,ニコチン酸アミドの併用療法が有効であった落葉状天疱瘡の1例

著者: 山下裕子 ,   青木見佳子 ,   又吉武光 ,   本田光芳 ,   新見やよい ,   川名誠司

ページ範囲:P.917 - P.921

要約 68歳,男性.背部の正中を中心とする軀幹に薄い鱗屑痂皮を伴う紅斑および弛緩性水疱を認め,抗デスモグレイン1抗体陽性,臨床像,病理組織学的所見より落葉状天疱瘡と診断した.肺結核とC型肝炎の既往があり,狭心症,高血圧,糖尿病に対し内服加療中であったため,テトラサイクリン,ニコチン酸アミド併用療法を行い,皮疹は軽快した.テトラサイクリン,ニコチン酸アミド併用療法はステロイドの全身投与がためらわれる天疱瘡群においても,考慮されるべき選択肢の1つであると考えた.

シクロホスファミドパルス療法が奏効した落葉状天疱瘡の1例

著者: 森本圭介 ,   長島千佳 ,   森戸啓統 ,   岡崎愛子 ,   福本隆也 ,   浅田秀夫

ページ範囲:P.922 - P.926

要約 54歳,女性.2007年春頃より背部に水疱・びらんが出現したが,放置していた.軽快しないため,近医を受診し,落葉状天疱瘡と診断され,2007年10月に当科を紹介受診した.副腎皮質ステロイド薬の内服を行ったが皮疹は増悪したため,ステロイドパルス療法,血漿交換療法を施行した.新生水疱を認めたため,シクロホスファミドパルス療法を施行し,ようやく軽快した.ステロイドパルス療法に抵抗する症例や血漿交換療法において著明なリバウンドを認めるような症例に対しては,B細胞活性を選択的に抑制するシクロホスファミドのパルス療法が有力な治療法の1つになり得るのではないかと考えられた.

抗デスモグレイン1抗体陽性IgG/IgA 天疱瘡の1例

著者: 星野洋良 ,   林裕嘉 ,   森布衣子 ,   木花いづみ ,   久保亮治 ,   石井健 ,   天谷雅行

ページ範囲:P.927 - P.931

要約 43歳,女性.初診時,落葉状天疱瘡に典型的な膿痂疹様皮疹を呈していた.病理組織上,角層下の棘融解性水疱で,蛍光抗体直接法で,表皮細胞間にIgGのみならずIgAの反応性を認めた.ELISA法で,IgG,IgAタイプの血中抗デスモグレイン1抗体が陽性であった.その後,環状に拡大する,辺縁に小水疱を伴う浮腫性紅斑や,膿半月の形成が出現した.病初期には,本症例は抗デスモグレイン1IgG抗体の影響とみられる落葉状天疱瘡様の臨床像を示したが,その後,抗デスモグレイン1IgA抗体に関連したと思われる疱疹状皮膚炎様の小水疱を伴う環状紅斑と膿疱を形成し,きわめて特異な臨床像を呈した.

妊婦に生じた線状IgA水疱性皮膚症

著者: 吉見宣子 ,   樽谷勝仁 ,   津田達也 ,   平野愛 ,   伊藤善啓 ,   大山文悟 ,   橋本隆 ,   山西清文

ページ範囲:P.932 - P.935

要約 36歳,女性.妊娠36週,初産婦.手背,足背,四肢を中心に紅暈を伴う拇指頭大までの緊満性水疱が出現,口腔内にもびらんを生じ来院.組織学的に好中球浸潤を伴う表皮下水疱と真皮表皮境界部に線状のIgAの沈着を認めた.線状IgA水疱性皮膚症と診断し,プレドニゾロン30~50mg/日を投与したが,正常分娩後も水疱新生が持続,ジアミノジフェニルスルホン(DDS)75~100mg/日併用により軽快した.児に異常は認めなかった.本症例は,妊娠中に水疱が出現したために,当初は妊娠性疱疹を疑ったが,病理組織学的検査より最終的に,線状IgA水疱性皮膚症と診断した.

乳癌患者へのレトロゾール投与後に生じた皮膚筋炎の1例

著者: 横田聡 ,   綾野雅宏 ,   大谷稔男

ページ範囲:P.936 - P.939

要約 53歳,女性.外科で乳癌の手術を受け,ホルモン療法により経過観察されていた.4年8か月後,転移リンパ節の拡大や疼痛,腫瘍マーカーの値の上昇をみたため,アロマターゼ阻害薬のレトロゾールを投与された.自覚症状は改善し,腫瘍マーカーの値も正常化したが,頸部に皮疹が生じ全身に拡大した.レトロゾールによる薬疹を疑われ,投与を中止.抗アレルギー薬の内服やステロイド薬の外用を行ったが改善せず,当科を受診した.軀幹や四肢に紫紅色斑を認め,手指の爪囲や関節背面にも紅斑がみられた.四肢近位筋の筋力低下があり,血中の筋原性酵素が上昇していた.皮膚生検や筋生検の結果と併せて皮膚筋炎と診断した.悪性腫瘍の患者に薬剤を投与後,皮疹が生じた際は,皮膚筋炎も鑑別する必要があると考えられた.

強皮症様症状を呈し,突然死した全身性アミロイドーシスの1例

著者: 梅垣知子 ,   長澤智彦 ,   大畑千佳 ,   中村敏明 ,   片山一朗 ,   西本憲弘 ,   光定伸浩

ページ範囲:P.940 - P.944

要約 74歳,男性.1998年,68歳頃から足底の角化性紅斑あり.その後発熱を繰り返し,次第に皮膚の硬化が進行したため,強皮症を疑われ内科にてステロイド内服加療を受けていた.精査目的に2004年6月当科紹介され,巨大舌を認め,口唇の生検組織にてコンゴーレッド陽性で過マンガン酸処理にて退色しない無構造な沈着物を証明した.免疫電気泳導でλ型M蛋白を認め,ALアミロイドーシスと診断した.経過中突然心停止きたし,一時心拍再開するも,心機能の回復なく2週間後に永眠した.

先天性多発奇形児に生じた亜鉛欠乏症の1例

著者: 周東朋子 ,   天野博雄 ,   山中正義 ,   田村敦志 ,   石川治

ページ範囲:P.945 - P.948

要約 4歳,男児.先天性多発奇形児である.初診の約4か月前から眼周囲に紅斑が出現し,同時期より発熱を繰り返していた.受診時,眼周囲・肛囲に紅褐色斑があり,発熱と血便・下痢がみられた.検査で亜鉛とビタミンB6の欠乏を認め,微量元素,ビタミン剤の投与で,皮疹のみならず発熱や下痢も改善した.本症例では慢性的な栄養摂取不足により微量栄養素が欠乏し,二次的な免疫能低下で発熱や下痢が生じたものと考えた.

手指潰瘍を契機に診断したcalciphylaxisの1例

著者: 山田和哉 ,   松島陽一郎

ページ範囲:P.949 - P.952

要約 40歳,女性.2001年より,IgA腎症からの腎不全で透析を行っている.2007年11月頃より,右第3指に紅色皮疹と有痛性の潰瘍が出現した.右第3指は全体に蒼白で,冷感を伴い,末節は暗紅色で3か所に血痂を付す小潰瘍を認めた.検査上,二次性副甲状腺機能亢進症を合併しており,右手X線にて血管壁の著明な石灰化を認めた.腹部X線では,腹部大血管に石灰化の所見はみられなかった.以上の所見より,calciphylaxisと診断した.副甲状腺亜全摘術,抗血小板薬内服,外用処置などにより潰瘍は上皮化し,右手X線の石灰化所見も改善した.

単純性血管腫を伴った後頭部のatretic cephaloceleの1例

著者: 國井隆英 ,   高橋隼也 ,   浅野雅之 ,   白根礼造

ページ範囲:P.953 - P.956

要約 生後4日,男児.出生時に後頭部の皮疹に気づき,来院した.初診時,後頭部正中の小泉門付近に10×12mm大で淡紅色の,軟らかい萎縮性の脱毛斑を認めた.脱毛斑は長い毛髪によって密に取り囲まれており,いわゆる毛髪襟飾り徴候(hair collar sign)を伴っていた.脱毛斑の周囲には9×6cm大の単純性血管腫があった.生後1か月には脱毛斑は透光性を有する囊腫様の外観を呈するようになった.超音波検査とMRI検査を施行したところ,病変部が頭蓋骨を通って頭蓋内へと連続している所見が得られ,atretic cephaloceleの診断で手術を施行した.切除標本では異所性の中枢神経組織と脈管の不規則な増生,髄膜上皮細胞(meningothelial cell)と思われる星芒状の細胞を認めた.

下腹部に生じた皮膚粘液癌の1例

著者: 早川彰紀 ,   宮一朗

ページ範囲:P.957 - P.959

要約 63歳,男性.約1年前より左下腹部に拇指頭大の結節に気づき,徐々に増大.初診時には自覚症状のない約7×1cmの弾性硬,索状の皮下腫瘤となった.病理組織像で真皮中層から皮下組織にかけて線維性隔壁により分けられた粘液様物質を含む多房性囊胞状構造と,そのなかに浮遊するように島状に腫瘍細胞巣を認めた.粘液産生性の内臓癌皮膚転移との鑑別のため,詳細な全身検索を行ったが,他臓器に悪性腫瘍はなく,皮膚粘液癌と診断した.腰椎麻酔下に腫瘍辺縁より2cm離し,筋膜を含めて切除し,単純縫縮した.術後再発は認めていない.

原発巣不明の肛囲Paget現象の1例

著者: 宮本章弘 ,   浅井大志 ,   村岡聡介 ,   馬場俊右 ,   赤坂俊英

ページ範囲:P.961 - P.963

要約 95歳,女性.肛門から周囲に一部にびらんや白苔を伴う手拳大の不整形紅斑局面を認めた.病理組織像では,表皮内に限局して胞体に富む印環細胞様の腫瘍細胞の増殖を認めた.免疫組織化学的所見では,腫瘍細胞はGCDFP15,CK7は陰性,CK20は陽性を示し,下部消化管癌の皮膚浸潤であるPaget現象と診断した.しかし,全身精査を行うも,明らかな原発巣の確認はできなかった.これらの事実は,CK20陽性でGCDFP15,CK7陰性の染色パターンを示す肛囲Paget現象が肛門括約筋から皮膚粘膜側にも存在すること,すなわち肛門括約筋から皮膚粘膜側に迷入していた直腸・肛門腺から生じた肛囲Paget現象が存在することを示唆している.

治療

転移性有棘細胞癌に対しTS-1単独投与によりCRが得られた1例

著者: 中村元樹 ,   田口理史 ,   山本明史 ,   肥後隆三郎

ページ範囲:P.965 - P.968

要約 78歳,男性.前医にて左前側頭部有棘細胞癌に対し切除術を受けたが,切除4か月後に左耳下腺への転移が出現し,紹介された.左耳下腺浅葉切除および左頸部機能的リンパ節郭清術を施行し,術後に左耳下腺部に放射線照射50Gyを施行したが,術後4か月後に左残存耳下腺近傍,左上顎部および下顎部に転移の再発を認めた.転移巣の再切除および再建術を予定し,術前化学療法としてTS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)100mg/日を2週間投与・1週間休薬を1クールとして開始したところ,4クール終了後のPET/CTにおいてCR(complete response)を確認した.TS-1は皮膚科領域ではなじみの薄い薬剤だが,高齢の患者が多い頭頸部原発の皮膚悪性腫瘍の転移例において,有用な選択肢の1つになりうると考える.

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あとがき

著者: 伊藤雅章

ページ範囲:P.972 - P.972

 平成22年度の日本皮膚科学会(日皮会)入会者から,専門医前実績の在り方が変更になります.

 1つは,主研修施設に認定された大学病院あるいはそれに順ずる総合病院で最低1年の研修が必要となります.主研修施設は,研修の目標・方略・評価からなる皮膚科研修カリキュラムを提示して,関連する一般研修施設とともに研修の場を提供します.主研修施設の皮膚科責任者が責任指導医で,研修医のカリキュラム遂行に全責任を負いますので,研修の途中途中で目標達成度を評価して,最終的に研修終了証を作成することになります.従来のような単に指導医であれば終了証を作れる安易な状況はなくなります.皮膚科専門医試験の合格率は例年70%台で質の高いものですが,それで測れる能力は主に認知領域でしかありません.それだけに研修の質が問題で,皮膚科専門医としての技能や態度を修練することが大切です.それが,結果的に優秀な皮膚科専門医を育成することになります.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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