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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻12号

2009年11月発行

文献概要

症例報告

発汗障害を認めた帯状疱疹の1例

著者: 井上桐子1 佐藤洋平1 平原和久1 早川順1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.896 - P.899

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要約 45歳,男性.免疫異常や神経ブロックの治療歴はない.右上肢の違和感に引き続いて同部の発汗過多が出現し,1週間後,同部に有痛性の紅色皮疹が一過性に出現した.同時に上半身に両側性に散在する紅色皮疹を認めた.しかし,当科初診時には右上肢の皮疹はすべて消失し,同部の疼痛と右上半身の乾燥,発汗反応の低下を認めるのみであった.水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)IgG抗体価の上昇と,紅色皮疹の生検組織でVZV DNAを検出したことから,汎発性帯状疱疹と診断した.自験例は,帯状疱疹が原因不明の分節型減汗症の原因の1つであることを示唆している.帯状疱疹後に発汗障害を呈する例は,これまでHorner症候群を呈した場合以外ほとんど報告されてこなかったが,実際には見逃されている可能性が高い.

参考文献

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10) 寺井 正: 神経内科 66: 451, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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