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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻12号

2009年11月発行

文献概要

症例報告

多形紅斑様皮疹が先行したChurg-Strauss症候群の1例

著者: 笠井弘子1 大内健嗣1 森本亜里1 高江雄二郎1 石井健1 海老原全1 陳科榮2 天谷雅行1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2東京都済生会中央病院皮膚科

ページ範囲:P.900 - P.904

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要約 57歳,男性.1年前より遷延する咳嗽,4か月前より皮疹が出現した.他院で,プレドニゾロン(PSL)内服による軽快と,中止後の症状再燃を繰り返していた.今回PSLの中止8日後,発熱,咳嗽,多形紅斑様皮疹,好酸球増多を認めた.紅斑消退後,下腿に紫斑,多発性単神経炎が出現した.病理組織学的所見は,紅斑では血管炎を欠く好酸球の浸潤,紫斑では好酸球浸潤を伴う白血球破砕性血管炎であった.Churg-Strauss症候群(CSS)と診断し,PSL1mg/kg/日投与開始後,速やかに諸症状は改善した.本邦での皮膚症状を呈するCSS報告例を集計した結果,血管炎の前駆症状として紅斑,膨疹,丘疹が挙げられた.本症例では,咳嗽・多形紅斑様皮疹が前駆症状として出現し,血管炎への移行が明瞭に観察された.CSSの典型的病理臨床像は血管炎を伴う紫斑であるが,前駆症状として多彩な皮疹を呈することが確認された.

参考文献

1) Churg J, Strauss L: Am J Pathol 27: 277, 1951
2) Masi AT, et al: Arthritis Reum 33: 1094, 1990
3) 岩下宣彦, 他: 皮膚臨床 48: 337, 2006
4) 我妻恭子, 他: 皮病診療 28: 563, 2006
5) 山田真枝子, 他: 臨皮 59: 135, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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