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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻12号

2009年11月発行

文献概要

症例報告

乳癌患者へのレトロゾール投与後に生じた皮膚筋炎の1例

著者: 横田聡1 綾野雅宏2 大谷稔男1

所属機関: 1倉敷中央病院皮膚科 2倉敷中央病院内科

ページ範囲:P.936 - P.939

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要約 53歳,女性.外科で乳癌の手術を受け,ホルモン療法により経過観察されていた.4年8か月後,転移リンパ節の拡大や疼痛,腫瘍マーカーの値の上昇をみたため,アロマターゼ阻害薬のレトロゾールを投与された.自覚症状は改善し,腫瘍マーカーの値も正常化したが,頸部に皮疹が生じ全身に拡大した.レトロゾールによる薬疹を疑われ,投与を中止.抗アレルギー薬の内服やステロイド薬の外用を行ったが改善せず,当科を受診した.軀幹や四肢に紫紅色斑を認め,手指の爪囲や関節背面にも紅斑がみられた.四肢近位筋の筋力低下があり,血中の筋原性酵素が上昇していた.皮膚生検や筋生検の結果と併せて皮膚筋炎と診断した.悪性腫瘍の患者に薬剤を投与後,皮疹が生じた際は,皮膚筋炎も鑑別する必要があると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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