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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻13号

2009年12月発行

症例報告

酢酸リュープロレリンの皮下注射部位に生じた異物肉芽腫の1例

著者: 田村梨沙1 舩越建1 齋藤昌孝1 大山学1 海老原全1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.984 - P.987

文献概要

要約 68歳,男性.前立腺癌に対しLH-RHアゴニスト製剤である酢酸リュープロレリンの1か月製剤を計8回皮下注射した後,3か月製剤に変更した.投与後注射部位に腫脹を認め,皮下硬結が残存した.初診時には径4cm大でドーム状に隆起していた.病理組織学的に,脂肪織に巨細胞を含む組織球や炎症細胞の浸潤,線維化を伴う結節性の病変を認めた.間質や巨細胞の細胞質に空胞を認め,酢酸リュープロレリンによる異物肉芽腫と診断した.酢酸リュープロレリンを酢酸ゴセレリンに変更し,病変部にはステロイド外用を行ったところ,皮下腫瘤は縮小した.酢酸リュープロレリン3か月製剤による肉芽腫は,本邦では42例報告されており,そのほとんどが1か月製剤から3か月製剤への変更後に生じていた.この原因として,主剤や基剤の含有量が多く,長く体内に留まることで異物反応が生じたと考えた.

参考文献

1) 真下 透: 日本臨牀 58: 191, 2000
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6) Ouchi T, et al: J Derm 33: 723, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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