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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻13号

2009年12月発行

症例報告

イソソルビドによる多形紅斑型の薬疹の1例

著者: 井上雄介1 小野田雅仁1 小岩克至1 相原道子1 池澤善郎1

所属機関: 1横浜市立大学医学部環境免疫病態皮膚科学教室

ページ範囲:P.991 - P.994

文献概要

要約 85歳,女性.転倒による慢性硬膜下血腫に対し,イソソルビドを18日間投与された.投与中止2日後,前胸部にそう痒を伴う紅斑が出現し,次第に全身に拡大した.6日後には発熱と全身倦怠感とともに円形の浮腫性紅斑が多発融合し,非典型target lesionを認めた.病理組織像では,表皮に海綿状態と基底層の液状変性が,真皮上層には血管周囲性にリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤がみられ,一部には好酸球を混じていた.イソソルビドによる多形紅斑型薬疹を考え,ステロイド薬の全身投与を行い,約2週間の経過で治癒した.発症1か月後の同薬によるパッチテストでは,ICDRG基準で48時間後,72時間後ともに+?,DLSTではSI0.94であった.イソソルビドはソルビトールの誘導体で,浸透圧利尿薬として頭部外傷などに起因する脳圧亢進時の降圧効果,Ménière病の治療薬として用いられている.同剤による薬疹は稀であり,多形紅斑型の薬疹は報告されていない.

参考文献

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7) 鎌倉知子, 他: 日皮会誌 114: 1295, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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