icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻3号

2009年03月発行

症例報告

ヘパリン起因性血小板減少症に合併した下腿潰瘍の1例

著者: 岩﨑純也1 武藤潤1 青木繁1 藤本典宏1 小林孝志1 多島新吾1 山本浩仁郎2 熊谷裕生2

所属機関: 1防衛医科大学校皮膚科学 2防衛医科大学校腎臓内科

ページ範囲:P.194 - P.197

文献概要

要約 42歳,女性.既往として多発性囊胞腎がある.2007年7月上旬,慢性腎不全が急速に悪化したため,右大腿静脈よりUKカテーテルを挿入し血液透析を開始した.経過中,両総腸骨静脈および下大静脈の閉塞・狭細化を認めた.カテーテルを抜去し,末梢よりヘパリンの持続点滴静注を開始したが,両総腸骨静脈および下大静脈の閉塞は改善しなかった.経過からヘパリン起因性血小板減少症を疑い,抗ヘパリン-PF4複合体抗体を測定したところ,陽性だった.末梢点滴ルートとして使用していた両側下腿の点滴刺入部は,抜針後徐々に潰瘍化したが,デブリードマンとスルファジアジン銀外用にてほぼ上皮化した.日常広く使用されているへパリンの副作用として,出血傾向ではなく,ヘパリン起因性血小板減少症の存在を知ることは重要である.

参考文献

1) Yamamoto S, et al: Am J Kidney Dis 28: 82, 1996
2) 松尾武文:日臨 62: 312, 2004
3) 一瀬白帝(編):図説血栓・止血・血管学, 中外医学社, p255, 2005
4) Warkentin TE, et al: Thromb Haemost 79: 1, 1998
5) Wartentin TE, et al: N Engl J Med 344: 1286, 2001
6) Fohlen-Walter A, et al: J Thromb Haemost 1: 1844, 2003
7) Warkentin TE, et al: Ann Intern Med 127: 804, 1997
8) Lewis BE, et al: Circulation 103: 1838, 2001
9) Ling E, Warkentin TE: Anesthesiology 89: 1567, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら